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【ゲーム理論】第1章  ゲーム理論とは

 皆さん、こんちは。和尚です。
 一発目の投稿からかなり時間が経ってしまいました。飽き性な性格なもので、一度投稿したきりだったのですが、このシリーズはGW期間中は継続的に投稿するつもりです。もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、ご覧になってください。

 今回紹介するのは、「ゲーム理論」という学問についてです。

【記事投稿の経緯】

 楽しみにしていたGWでしたが、新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごすこととなってしまいました。1人暮らしで家にいると暇で仕方ない。ひたすらダラダラするにはちょっと長すぎる休みだし、折角なら1度投稿したきり放置していたnoteで何かしようじゃないか。
 そんな風に思い至り、アウトプットも兼ねて久々の投稿です。

 noteに投稿するのに何か良い取り組みはないものかと考え、やることに決めたのは「興味のあった学問を勉強する」です。

 最初に言っておきますと、私は学生時代に”学問を修める”という経験をほとんど積んできませんでした。典型的な「文系の学生」と言いますか、授業の履修は単位を取ることを第一の目的とし、内容は二の次です。「自分の専攻する学問を学びたい!」という意欲がなかったのです。
 しかし、その一方で周りで「忙しい」「遊ぶ暇がない」などと言いながら研究室やゼミに力を注ぎ、特定の分野の学問に精通している友人を見ると、なんだか羨ましく感じていたのも覚えています。それは大学を卒業し、社会人となってからより強く感じるようになりました。きっと、大人になって”学ぶ”という事の贅沢に気付いたのでしょう。
 

 そんなことを最近考えていたこともあって、GWは学生時代に曲がりなりにも所属していたゼミで扱った教科書をもとに、ある学問について学びたいと思います。そして、アウトプットも兼ねて、みなさんにその内容をご紹介したいと思います。尚、参考とする教科書は鈴木豊さん著「ゲーム理論・契約理論」(勁草書房)です。

「ゲーム理論」とは

 さて、今回学んでいく学問は、「ゲーム理論」です。
 このゲーム理論とはどのような学問か、教科書によると、

「ゲーム理論」は、複数のプレイヤー間の相互依存関係が存在する状況を論理的に分析し、各プレイヤーの行動(とりわけ”合理的”な行動)を予測すし分析しようとする学問

 出典:鈴木豊(2016)「ゲーム理論・契約理論」勁草書房

とあります。
 つまり、互いに行動することで何かしらの影響を与え合う複数の主体が存在する状況において、それぞれがどのような振る舞いをすることが理に適っているかを分析する学問だといえます。
 もっと噛み砕いて言えば、「相手(複数の場合も含め)と何かやり取りをする時に、得をする(損をしない)行動とは何かを考える」学問だという事でしょう。これは、普段の日常生活からビジネスシーンや国の外交に至るまで様々な場面で、ある種、意識せずとも当たり前のように行っていることかもしれません。日常生活であれば、グループ内での主導権の握りあい(マウント合戦)、ビジネスシーンであれば、営業をする際の値引き交渉やライバル企業に対抗した商品開発などです。
 こうした、各主体が相互に依存する関係のなかで利益のやり取りをする状況をゲームと言います。そして、ゲームにおいて最適な行動を選択する道具となるのがゲーム理論です。 
 しかし、ここで重要なのがこのゲーム理論ではそれぞれの主体が自己の利益のみを追求することを良しとしないことです。

 すなわち、個々のプレイヤ―の自由な選択のなかで、社会的な協調行動を実現するにはどうしたらよいのか、についての合理的な指針を与えてくれるのも、ゲーム理論の重要な側面だという事です。
  また、共有資源の問題に見るように、選択の自由の中で、安易に自己利益追求行動(過剰な搾取)をとることなく、社会的な協調行動(適切な資源管理)を実現するにはどうすべきなのか。多様な問題の本質を整理し、合理的な指針を与えてくれるのがゲーム理論なのです。

出典:鈴木豊(2016)「ゲーム理論・契約理論」勁草書房

 マナーを守らずに公共の場で迷惑な行為をする人を見かけたことは皆さんもあるはずです。自分にとって都合の良いことばかりを追求し、周りの人は不快な思いをする。一見、迷惑行為をする人の一人勝ちのようにも思えますが、ゲーム理論ではこうした行動が利益の最大化につながらないことを合理的に示してくれます。
 つまり、個々の主体が自らの利益のみを優先して行動することを防ぎ、複数の主体が相互関係にあるという前提のもと、各自の利益を最大化することへの納得のいく理由を示すことがゲーム理論のひとつの特徴といえます。

ゲーム理論の3つの要素

 ゲーム理論では、ゲームにおける要素をプレイヤー(主体)、戦略(計画行動)、利得(利益)の3つに分けます。

プレイヤー(主体)
 ゲームにおいて、主体的に行動する参加者のこと。
  ex) 仲良し(笑)グループでマウントをとる女子、
     経営戦略を行う会社、外交交渉を行う国家 … etc
戦略(行動計画)
 プレイヤーが選択する行動計画や意思決定。
 相手のアクションに対して、自分のリアクションを計画・決定する。
  ex) じゃんけんの3通りの手でどれを出すか、
     新たな市場に参入するか、雇用政策を行うか ... etc
利得(利益)
 戦略の選択の結果として各プレイヤーが得るものを数値で表したもの。
  ex) お金、スポーツのスコア、国益、心理的な満足度を数値化したもの

 ゲーム理論ではこれら3つの要素で、ゲームの状況(複数の意思決定者の間の相互依存関係の状況)を記述します。

ゲーム理論の分類①
【協力ゲームと非協力ゲーム】

 ゲーム理論は、「拘束力のある契約」を結べるか否かによってゲームを2種類に分類できます。それが非協力ゲーム協力ゲームです。

 非協力ゲームは、プレイヤー同士がコミュニケーションを取らず、互いが独自の戦略を練る、というものです。各自の利得の最大化を図り、利得全体(パイ)を奪い合い(分け合い)ます。この際、プレイヤーの戦略次第で個人だけではなく、プレイヤ―全体の利得(パイ)の大きさも増減します。

 一方、協力ゲームは、プレイヤー間における提携を通じて協力が可能な場合のゲームを指します。この際の協力とは、契約や協定といった「拘束力」のあるものです。協力することで、プレイヤー全体の利得の増大が見込めるときに利得の総和の最大化、そして最大化した利得を分け合います

 非協力ゲームでは、プレイヤーがお互いに独自の戦略を決定することから、合理的な選択を積み重ねていく演繹的な分析が多いです。
 協力ゲームでは、理想的な結末を想定した帰納的な分析が多くなります。

 ゲーム理論では、その多くを非協力ゲームが占めています。
 そして、ナッシュ均衡という均衡概念とその精緻化で、そのすべてを説明しようとします。

ゲーム理論の分類②
【同時手番ゲームと逐次手番ゲーム】

 ゲーム理論は、更にプレイヤーの行動決定タイミングによって2種類に分類できます。それが同時手番ゲーム逐次手番ゲームです。

 プレイヤ―がお互い同時に手を明かすのが同時手番ゲームです。
 例としては、じゃんけんや投票などがあります。
 それに対し、プレイヤ―が交互に手を打ち合うのが逐次手番ゲームで、例としてはオセロや囲碁などが挙げられます。

 そして、これら同時手番ゲームや逐次手番ゲームが繰り返し行われる中、そうした全体ゲームの中で独立し、完結する一つのゲームを部分ゲーム(サブゲーム)と言います。大富豪をする際に、だれから始めるか決めるじゃんけんなどが部分ゲームにあたります。

 また、同時手番ゲームや逐次手番ゲームを繰り返し行う場合、これを繰り返しゲーム(反復ゲーム)と言います。そのうち、回数が限定されているものを有限繰り返しゲーム、際限なく続けるものを無限繰り返しゲームと言います。ゲームが有限繰り返しゲームか無限繰り返しゲームかでとるべき最適な戦略も変わってきます。

まとめ

 皆さんいかがだったでしょうか。
 本記事では、ゲーム理論について基礎的な部分をまとめました。ざっくりとではありますが、まずはゲーム理論がどんなものなのかつかめると良いかと思います。
 私個人としては、社会的な協調行動を合理的に示すという点が非常に興味深かったです。多くの人が社会の中でルールやマナーを守り、倫理的に他者の存在(あるいは他人の目)を気にしながら行動しますが、ゲーム理論ではこれに合理的な理由を与えてくれる、というのです。
 まだまだスタートラインに立ったばかり(それ以前の話?)ですが、ここから先の内容を学ぶのが楽しみです。

 最後に、記事中にも記載しましたが本記事は筆者がゲーム理論について学び、理解した内容をアウトプットする場として活用する、という側面があります。もちろん、最大限の努力をしますが間違いがないとは言い切れませんので、ご了承ください。そのうえで、本記事が読んだ方にとって価値あるものになれば幸いです。

 次回は、第2章 静学ゲーム です。良ければまた次回、それでは。