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たりないあにき

2021年6月某日。曇り。22℃。


1か月以上も前のことだが、妹に引っ越しを手伝ってもらった。3歳下の彼女は大学生で、人生最後のモラトリアム期間を部活にゼミに友達に捧げ、このご時世にしては目いっぱい楽しんでいるように見える。兄としては、一安心している。

そんな忙しい彼女の貴重な半日を頂戴したからには、そのお礼として、小洒落たカフェにでも連れて行って、エッフェル塔みたいなパフェでも真っ白なクリームの塗りたくってあるパンケーキでもいつぞや流行ったタピオカでも僕がつい最近知ったダルゴナコーヒーでも何でも好きなものをご馳走してやろうじゃないか。という考えに、1か月以上経ってから、至った。なかなか至らぬ兄だ。至ったけれども、至っていない。もうちょっと早く至ったら至らなくない兄貴だったのに。

「引っ越し手伝いのお返しできてないんだけど、宣言明けたらどっか飯でもお茶でもカフエでも行こうか?」早速LINEを送ったのだが、なかなか返信が来ない。そりゃ華の女子大生、忙しいのはわかるけども。気づけば1週間、未読無視が続く。付き合う前のお互いが意識しあって、ラインの返信をあえてしない、読み合い牽制し合い、青春真っただ中の男女じゃないんだからさ。行くか行かないくらいの返事をするのに5秒だってかかんないじゃん。

能天気で楽観的で至らない兄は「まさか嫌われている」という思考にまで及ばず、「妹に1週間も無視されてんだよね」なんてことをお袋にぼやいていたら、「あんた嫌われてんじゃないの」という痛烈なカウンターをお見舞いされた。


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次の日に妹からスタンプが届いた。なんだこれ。焼け石に水、むしろ傷口に塩か。昨日の痣はそんなちゃちな処方箋じゃ収まらない。どうぜお袋が妹に告げ口したのだろうし。
ちなみにこのキャラクター、うさぎタイツというらしい。憎たらしい面をしているもんだ。煽り性能はカンストしてるんじゃないか。可愛いけども。

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ということで、手負いの能天気で楽観的で至らない兄は、仕返しをすることに決め、目には目を歯には歯をということで、今現在、絶賛未読無視中である。


ああ。大人げない。そしてそれをnoteのネタにするなんて。浅ましい。

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