宣告から24日目:どうなるのだろうか

父親が脳卒中で倒れ、意識不明となってから24日目となった。
倒れたその日は今日か明日中には死ぬだろうとはっきり医師から言われた。
家族は絶望状態だった。
一家の大黒柱をいきなり予告もなく抜き取られたのだから。

しかし父は頑張って生きていた。
意識不明で栄養も胃から取れない状態から24日が経った。
だんだんと痩せていき、しかし顔色は白く美しくなっていっている。
脳の一番主要な部分、脳幹が損傷し、
意識は戻ることはないと告げられている。
そのため、目が開きっぱなしで、口も空きっぱなしである。
飲み込むことができず、栄養は血管からのみ摂取しているようだ。
ほとんど栄養も取れず、意識もなく、
これから間違いなく着々と死に向かっている人と
病院は観察している。

しかし家族は諦めきれないのだ。
すべてをゆだねることが大事だとわかっていても、
母や姉、私も父親が復活することを祈っている。
戻ってくると信じたいと思っている。
その気持ちが父を引き留めているのだろうか。

父親はきっと今とても素晴らしい場所にいるのかもしれない。
肉体の縛りから解放され、どこにでも飛べる光景が見える。
重たく苦しい肉体なんかもう戻りたくないのかもしれない。

でももしキセキが起こったら。
この世に絶対などなく、死の淵際まで行き、色々なことを悟った父親とこの世でまた話ができたら。
それはきっととても面白いだろう。
そして多くの人へ希望を与え、救うことができるかもしれない。

どうなるのかわからないのならば、
そのままでいいではないか。
どうしようかと迷う必要もない。
どうして判断する必要があるのだろうか。
身を任せてみよう。
そしたらなんだか本当にいいことが起こる気がするのだ。
こんな状態でも。

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