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「3年で日本一の人事部にして」と向き合った1年間のふりかえり

DMMで人事部長をしている大嶋です。
2022年3月から人事部長を任されまして、ちょうど1年が経ちましたので、初心を忘れないように振り返りを綴っておこうと思い立ちました。

「3年で日本一の人事部にして」

人事部長に就任する際に、コーポレートの役員から言われたことは、「3年で日本一の人事部にして」というシンプルな一言だけでした。

「日本一」という指針を掲げると「日本一」と比較しないといけないでしょ?そうすると考えるでしょ?これは「日本一」の提案なのかって。そうやって良いもの作っていくのよ

会社が成長するためには、人事が強くないといけない。強くなるためには、日本一を目指さなければいけない。まだ世界は目指せないけど、日本一は目指せるから本気でやるよ

役員から数か月後にその意図を教えてもらった


グッとくるものがありました。

せっかく人事部長をやるなら、高い目標があったほうがいいよなと、人事部長という責務の重たさに不安に駆られている自分がいたのですが、「日本一」という世界を見てみたい、みんなにも見せたいと思い、腹を決めました。

「日本一の人事」ってなんだ?

むずかしいテーマですよね。いまだに暗中模索しながら進めているところもあるのですが、、、人事という枠組みで考える前に、DMMという会社が保有する「日本一」の要素を考えることから始めることにしました。

「日本一」になりうるなと考えたのは3つ

①DMM.ESSENCE
DMMが大切にしてる文化や風土。唯一無二のこの仕事様式が何より一番。

私たちには、脈々と受け継がれてきた「挑戦する」文化があります。それは変化できる者だけが持続的に成長していけると考えているからです。そして、挑戦と変化を繰り返す中で、グループ全体に共通の価値観として培われ、広く浸透しているのが「DMM.ESSENCE」として言語化した組織風土です。

DMM.Essenceより
https://dmm-corp.com/recruit/philosophy/

②多様な事業
AIから農業まで幅広い領域の事業展開をしている弊社。最近ではヘルスケア領域や、メタバースなどのWEB3の領域にも進出しています。

規模の大小、ジャンル関係なく、未来を感じるビジネスにはひとまず投資。なんでもやります。ひとまずなんでもやっちゃいます。
17領域60事業。

③非上場企業
合同会社ってあんまり聞かないですよね。

非上場企業としては、サントリーさんなどが有名ですが、非上場企業であるためには、「株式上場以外の資金調達の方法が確立されている」「資金調達しなくてもすでに十分な資本がある」必要があります。

逆説的に言うと、弊社はその前提を満たしているからこそ非上場であり続けられるということです。非上場であることは、株主の意向を受けないため、早期意思決定が出来たり、短期的な損益に左右されない長期的な経営を行いやすいというメリットがあります。

さて、ここまで3つの要素を述べてきました。

これらの要素を掛け合わせることで

DMMは、事業や人の「変化のスピード」
「多様さ」が日本一の会社である。

という、「日本一」の人事部を考えるうえでの一つの背骨が見えてきたかなと思います。

人事部長という役割を担うにあたり、経営陣と対話する機会が多いですが、「意思決定」や「実行」のスピードは驚かされるばかりで、億単位の意思決定であっても今日決まったことがすぐに動き出します。

経営陣のインタビュー記事がその雰囲気が伝わりやすいのでリンクを貼っておきます。
https://dmm-corp.com/company/officer/muranaka-yusuke/

そんなDMMにおいての人事部は

日本一変化に強い人事部であるべきだ

大嶋が考えるDMMの人事が目指す日本一


そんな目標を掲げることにしました。


「日本一変化に強い人事部」に求められること

日本一変化に強い人事部に求められることについて、求めだすとキリがないのですが、シンプルに2つの言葉に想いを込めました。

①人事部メンバーの一人一人が変化に対応できるプロフェッショナルである

②変化に強いオペレーションを構築し、運営し続ける

①人事部メンバーの一人一人が変化に対応できるプロフェッショナルである

事業の変化が激しいDMMにおいては、事業変化に合わせて即時判断・意思決定が出来る状態の人事部である必要があります。

そのためには、事業と向き合うそれぞれ個人が即時判断・意思決定が出来る必要性があり、そのためには人事としての高い専門性と現場理解が不可欠であると考えています。

特に、新規事業には曖昧さが付きまとうため、「曖昧さ」に対してしなやかに対応する必要があります。

「曖昧さ」とむきあうということは、不確実な情報で意思決定する「勇気」「忍耐」も付きまといます。

選択肢を一つに絞らずに、複数の分岐を想定しながらまず動いてみることや、事業部と対立する意見において説得したり交渉するような「勇気」「忍耐」を持ち、滑り出しや途中段階で何度かつまずいても、事業部との対話を繰り返して、進むべき道を指し示すことや、粘り強く有益な方法でまとめられるようにするコミュニケーション力やプロジェクトマネジメント力が求められます。

②変化に強いオペレーションを構築し、運営し続ける

人事として何より重要なのは日々の労務や採用実務や、従業員との対話だと考えています。高品質で安定的な人事業務を当たり前のように提供することが、何より大切であり、その土台無くして人事を語るのは恥ずかしいなとすら思います。

変化に強いオペレーションというものは、基盤が安定しているがゆえに、揺れに対してもしなやかに対応出来ると考えていますし、必要に応じて揺れに対応出来るように土台の補強や修繕が必要になることもあると考えています。

半永続的な企業活動をする前提で、安定的な人事運営をしていく必要があるため、時には無茶苦茶な変化に対しては、変化を一時的に遅くしてもらったり、補強や修繕の予算を自信を持って提言することなども必要だと考えます。

無茶苦茶な変化と書きましたが、何を持ってそう判断したのか経営が納得する根拠を積み上げる必要があるため、税務ストラテジーや、投資の機会損失など、幅広い経営判断情報を理解した上で、従業員の立場を代弁する人事として、人事部のオペレーションの重要性を知る立場として、会社にとってマイナスになる可能性があることに対しては意見を伝えて、軌道修正していくことが求められると考えています。


「日本一変化に強い人事部」を作るための現状と課題

日本一変化に強い人事を目指すに当たって、上記2項目を満たしている状態にする必要性があると考えたわけですが、まず私含めてまだまだその領域に達していない状態であることを認め、理想とのギャップを埋めるために、色々なことに挑戦しました。

まず、人事部内に対して現状と理想を伝えることから始めました。上記2項目について、キックオフミーティングをおこないました。

キックオフミーティング参照資料①

標準的なバックオフィス機能は成熟し安定感が増していたところがある一方で、柔軟性や変化への適応性に課題感がありました。

キックオフミーティング参照資料②

ゆえに、「柔軟性や変化への適応力」をがんばるぞ!となりました。

キックオフミーティング参照資料③

「柔軟性」のイメージを揃える必要性があったので、イレギュラーのボールを拾うことが出来るようにすることを柔軟性と捉えて説明をしていきました。

キックオフミーティング参照資料④

「それは自分の仕事ではない」と言ってしまうのは、組織人としてはよろしくないなと私は思っているのですが、仕事が多様化している組織においては、そういう事象が起きやすく、一部の人が何とか打ち返してくれていることで仕事が成り立っていることが良くあります。

60事業以上あり、常に事業立ち上げと撤退を繰り替えす弊社においては、一部の人のみが拾える状態であると、「柔軟性があり、適応力が高い」組織になり得ないと考えたため、一人一人のスキルや専門性を高めていく必要性があると考えました。

では、具体的にどんな取り組みを進めたのか、下記で紹介していきます。


人事部運営の取り組み

① 目指す人物像、定義しました。
② キャリアパス、定義しました。
③ ジョブローテ、はじめました。
④ 評価にも、組み込みました。

特に奇をてらったことはせず、メンバーとしっかりと向き合うことでスキルや専門性を高められる組織にしていこうと考えました。

①目指す人物像、定義しました。

改めて、どんなことを大切にしていきたいのか、どんな人になってもらいたいのかなど、言語化することから始めていきました。

②キャリアパス、定義しました。

1.一人ひとりが自身の希望や将来的なビジョンを考えること
2.会社や事業の将来も意識しながら自分のキャリアを築けること
これらの両立が大切だと考えていたため、まず会社としてのキャリアパスのイメージを可視化しました。

キャリアパスのイメージ図

一人一人のスキル・専門性鍛えていくために、個々人の現状を可視化するとともに、一人一人のキャリアの志向性とも向き合っていこうと考えました。

具体的には、キャリア開発施策を人事部内で実施しました。

人事部リーダー陣に対して説明した際に利用した資料
キャリア開発アンケートのイメージ
個人ごとの結果サンプル

実施してみて、それぞれの得意不得意や、特性やキャリア感など、業務調整をするうえで必要な情報が見えてきたことと、これらをもとに対話の密度を上げることが出来たため、配置換えなどの調整がよりしやすくなりました。

③ ジョブローテ、はじめました。

そうした背景もあり、人事部内でのジョブローテーションを積極的に行う方針を打ち出しました。中途入社者がほとんどで構成された人事部ということもあり、入社時の業務を継続して従事しているメンバーが多かったのですが、多くのメンバーがゼネラルに経験値を積んでみたいという希望を持っていたり、スペシャリティを上げていくためにも他の業務をやってみたいという想いを持っていたため、配置を変えて経験学習できる幅を拡げるようなことを積極的に実施しました。
このタイミングで、子会社の人事機能組織などをいくつか統合させながらグループ全体での配置転換が出来るような打ち手にも取り組み始めました。

④ 評価にも、組み込みました。

バックオフィスの目標設定は定量化すると本質的ではない柔軟性が低いものが出来上がりがちです。ゆえに、「これは日本一か?」と常に問いかけながら、比較検討する行動や、その行動量などを評価することにしました。

また、柔軟性に富み変化への適応が高い組織にしていくために、「明元素感」な組織でないと変化への摩擦に耐えられないという想いがあり、明るく元気に、素直に感謝できているかどうか、人から信頼されるような振る舞いや行動が出来ているか、そんな当たり前のようだけど、軽視したくない事も明確に評価軸に入れました。


その他の取り組みについて

そんな形でこの一年の取り組みの骨子を説明してきたわけですが、

組織を活性化させるためには、採用や配置替えなどが有効的だと考えている一方で、教育とも向き合うことが中期的な基盤作りに大切だと考えていますので、どちらか一方のみを頑張るのではなく、優先順位はつけつつもどちらも取り組める組織であり続けたいなと思います。

そんなわけで、人事部を強化するために取り組んだ教育施策の一つである「戦略人事実践塾」について、次回の機会にご紹介できたらなと思います。

環境変化が激しく、常に新しいことを学び続けながら現場での機会に揉まれることが出来るDMMにおいては、「人事をやるならDMM」と言える環境づくりができるのではないかと考えています。

「日本一変化に強い人事部」に向けて、今期も引き続き採用活動も続けておりますのでご興味ありましたら奮ってご応募くださいませ。

人事の知識や経験値はもちろん重要ですが、知識や経験値が不十分でも成長意欲や学習意欲が高く、現場との対話を大切にしてくれる人と一緒に成長しながら組織づくりをして行きたいと考えていますので、学歴も年齢も関係なく、DMMらしい人事部を一緒に作ってくれる人を待っております!



次回、戦略人事実践塾のあらすじ

  • HRBPを育てることの難しさ

  • 経験学習を促す仕組みづくりとしての実践塾

  • 実際の座学資料を一部公開!


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