おじいちゃんの助手席
昨日、久しぶりにバスの乗りました。
私が乗る前から既に車内は満員で降りる人も少なく
運転手さんのすぐ横に立つことになった。
器用に運転する姿を眺めながら、なんだか懐かしい気持ちになった。
白い手袋にスラックスにチョッキ、ハンドル捌き・・
なんだか親しみのある雰囲気。
おじいちゃんだ。
私の祖父は、バスの運転手をしていた。
私が幼稚園の頃にはもう引退していたけれど、
自家用車でも運転する時は、チョッキと白い手袋をしていた。
そして、道を曲がるときや信号を渡る時は必ず指差し確認をしていた。
今なら分かる。これは職業病ってやつだ(笑)
田舎育ちなので、移動は車でないと難しく
両親が共働きだった私の足はほとんど祖父の車だった。(足とか言ってごめん)
少し離れた友達の家に行くにも、週に2、3個通っていた習い事の送り迎えも
祖父の車で行くことが多かった。
だから私は、地元を出る前の多くの時間を祖父の助手席で過ごした。
祖父はひょうきんだ。
さっき、道を曲がる時に指差し確認をすると言ったが
「右よし、左よし!どうでもよし!」とふざけるのがお決まりだった。
ラジオから流れる曲を大熱唱していたし、
運悪く大好きな相撲中継の時間に私の送り迎えをしないといけない時は
ラジオで中継をしながら、映像見えてるのか?というくらい大盛り上がりしていた
そんな祖父を見ていて、なんだかおかしくて
行きたくない塾も剣道も、行くまでの道のりは何だか楽しかった
自分が楽しんでいると、周りの人もつられて楽しくなってしまう。
これは、イルカの法則というらしい。
そう思うと、祖父はイルカのような人だ。(そんなに綺麗じゃないけど笑)
東京の祖父は乗ってないバスで、こうやって祖父のことを思い出した。
たまに東京にいると1人寂しいと感じる時がある、
でも私には思い出をたくさん持っていて、1人の時でも
大切な人のことを感じることができる。
私は実家に帰った時のダイニングに座る場所は、祖父の隣だ。
祖父の助手席に乗ることはなくなったけれど、
食事をしているとき、祖父は相変わらず陽気に過ごしている。
また帰って、祖父の隣で思い出をたくさん増やそう。
車と違って景色は変わらないけれど、会話を通していろんな景色を一緒にみよう。
思い出は、人を強くする。
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