
建設系の中小企業が外国人採用について本気で考えてみた11~だれの物?編
ジャイアンは言いました。
「オマエの物はオレの物、オレの物もオレの物!」
そんな名台詞(?)が思い浮かぶ出来事がありました。

課長が現場を巡回したときのこと、他の協力会社さんにクレームを入れられたそうです。
クレームの内容は
「おたくの外国人がウチの工具、勝手に使ってるんだよね!」
あわてて当人に他の会社さんの工具を使っちゃダメ、と教えたそうですが、
今度は別の会社さんから「彼、売店横のポット使ってるよ」とチクリ報告が…
そのポットは、売店でカップめんなどを買ったお客さん用なんですが、彼は持参のカップめんにもそのお湯を使ってしまうようで。

当人によくよく聞いてみると、工具もお湯も現場にあるものは「ぜんぶ共有だと思ってた。」とのこと。
以前に働いていた場所では、同じ国の人がたくさん働いていて、そのグループの中で日本語に長けたリーダーが指示やとりまとめをしていたようです。
また建設現場の様にいろんな協力会社さんが一緒に働いているようなところでもなかったので、「コレはウチの」「アレはよその」という物があることに本人も戸惑っているのかもしれません。
もしかすると、彼の出身国では経済的に苦しい家庭が多いから、ご近所同士で色んなものを共有するのが当たり前、という文化があるのかもしれません。

こんなこともありました。
先輩社員が彼にハンマーを貸してあげたのですが、自分が必要になったときに「ハンマー返して。」と言ったら「まだ使ってる!」と怒って渡してくれなかったとか。
……果たして文化のせいなのか「オマエの物はオレの物」主義なのかは定かではありません。

ところでジャイアンの「オマエの物はオレの物」には、ひとのものを独占するガキ大将、というイメージが強くありますが、実はこのセリフが使われたのはちょっと感動的なシーンなのをご存じでしたか?
山から転げ落ちたランドセルを必死に探しても見つからず途方にくれるのび太。それを知って雨の中ドロドロになりながら、のび太のランドセルを取り戻してあげたジャイアン。
泣きながら「ありがとう!」と感謝するのび太に「オマエの物はオレの物、オレの物はオレの物なんだからよ!」というジャイアン。
これはのび太を気遣ったジャイアンの、漢気(おとこぎ)あふれるセリフだったのです。

人の物を我が物のように大切に扱う、人の痛みを我が事のように受け止め尽力する、そんな思いに裏打ちされた「オマエの物はオレの物」ならいいんですけどねぇ。。。
次々と襲うクレームに頭を抱える課長を横目に、外国人が日本で働くためのマナー研修の準備を粛々と進めているこの頃です。