私たちに寄り添って、そっと照らすろうそくのようなラジオ「人生百貨店」
いろんな人の人生が、各フロアにならんでいる。
そんな百貨店があれば、行ってみたいと思いませんか?
そんな場所あるわけない?
いいえ、実はあるんです。
それが、ラジオ番組「人生百貨店」。
(以前働いていた職場の同期で友人の周さんが企画・パーソナリティを務めるこの番組。開始から半年が経つ今、「おめでとう」の気持ちを込めて)
どう生きていくか。迷いの中にいるわたしたち
私たちは、日々いろんな悩みを抱えている。
特に20代後半は、人生の悩みが最も多い時期とも言われている。
同期会をしても、結婚のこと、仕事のこと、人間関係のこと。
これが話題のTOP3。
この人と結婚していいのかな
周りは結婚していて、私はどうしよう
転職した方がいいかな
異動になったけれど、やりたいことじゃないかも
ずっと留学したかったんだよね
起業のタイミングどうしよう
本当はこれをやりたいのにできない
家族のことで悩んでいる
職場にいやなお局さんがいるんだよね
社会環境が大きく変わり続ける現代、最もリスクの高い行動は「何もしない」こと。
そんなことはわかっているけれど、どう行動すればいいかわからない。
漠然とある「このままでいいのかな」という不安、焦り。
でもよく考えてみれば、これって今に始まったことじゃないよね。
きっと先輩方も同じように悩んで、考え抜いて、決断したはず。
「人生百貨店」を企画した周さん自身も、『少し先を生きる人たちの考えや生き方に触れて、少しずつ自分の道が見えた』、『年齢を重ねるなかで、直面する壁に立ち向かう人の姿をみて、勇気やヒントをもらってきた』
という。
そこにどんな葛藤があって、どう決断して、どう生きているのか。
人生百貨店は、そんなことをゆるりと聴けるような場所だ。
キラキラして見える他人のキャリア
他人のキャリアは眩しい。
『インタビューだと筋書きがあって、実績の部分が強調されているから、もっと等身大で伝えたいんだよね』と周さんは言う。
そのコンセプトを聞いたとき、私はまさにこの前の女子会を思い出した。
「他の人ってどんなキャリアを歩んでるんかな?」
「ネットで調べてみたら」
「華々しい人のキャリアばっかりで、自分とのギャップに落ち込むんだよね」
「あー、たしかに。みんなキラキラして遠く感じるよね」
「職場の20代はわたしだけだし。孤独だよー」
等身大のキャリアを真剣に語り合える同年代は、数少ない目の前の友人だけ。
その友人の中でも、楽しむだけの友人と、真剣に語れる友人がいて。
そうなってくると範囲がどんどん狭くなっていく。同年代がキャリアをどう捉えて、どう進んでいるのか、もっと知ることができたら、と思っていた。
ミレニアル世代(1987〜1996年生まれ)やZ世代(1997〜2006年生まれ)である私たちのキーワードは、多様化、個人、風の時代。
みんなが憧れたシャンデリア的なエリートキャリアは、私たちのモノサシでは全く違うものになりうる。
出世なんて興味がない。自分の人生をどう楽しむか、それだけ。
そんな価値観の人が多い気がする。
ちょっと上の先輩の、これまでの転機の話。
実際バーでそんな会話が聞こえてきたら、聞き入るだろうし、なんなら輪に入っちゃうかも。友達の延長のような、人生百貨店のようなコンテンツ。
そんな気軽さが、私たちには必要かもしれない。
「だれもひとりぼっちにしたくない」
大庭周さん。私には想像できないくらい、彼はたくさんの活動をしている。(詳しくはこちらのnote)
彼と話す中で、「だれもひとりにしたくないんだよね」という言葉が耳に残った。
理由を聞くと、そこには小学生の時の体験があるという。
10歳くらいの時、いじめにあって友人関係に悩んでいたことがあると。
(「実はわたしも、同じ時期にいじめられていたんだよね」と言ったら、
「そうなんだ。違う場所で、くるしい思いをしていたんだね」と。
こうやって笑い合えることが、どれだけ幸せなことか。涙が出そうだった)
そんな過去の経験があるからこそ、人一倍「繋ぎ役」としての思いがあるのだと思った。
「誰もひとりぼっちにしない」とは一見すると押し付けにも聞こえるかもしれない。でも、そこには「自分のペースで近づいていいんだよ」というような優しさしかない。
周りに追いつけてないと焦ったり、本当の自分が出せなかったり、みんないろんな悩みを抱えながら生きている。
『その中での小さな光やろうそくになれたらいいなって。自分自身が強くないからこそ、ラジオを通して、自分に光を差し込んであげて、強くなろうともがいてるんだと思う』と彼は言う。
シャンデリアじゃなくて、ろうそく。
「あなたはあなたでいいんだよ」「こんな生き方もあるんだって」とやさしく背中を押してくれるような。
そんな人がつくっている、あたたかい番組。
バーのような余白のある空間で
ゆるっとした雰囲気の中、「人生百貨店」で語られるのは等身大のキャリア。
筋書きもない、余白のある空気が流れている。失敗談も、冗談もある。
筋書きがないからこそ、そこには あなたのための余白がある。
余白があるからこそ、立ち止まって振り返ることができる。
百貨店の各フロアにいろんなものがあるように、ただ見るだけでも心がおどったり、「こんなものもあるんだ」と参考になったり。
肩の力を抜いて、隣の人が話しているのを、一緒に聞いているような。
聴きながら、自分が踏み出すヒントになるような。
人生百貨店はきっと
「あなたはひとりじゃないよ」と、背中を押してくれることでしょう。