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タワマン節税の最高裁判決をわかりやす~く説明します!

こんにちは税理士の西山です。

今回は、タワマン節税・最高裁判決について分かりやすく説明します。

先日、4月19日の最高裁の判決でタワーマンションの購入による相続税の節税策が否認されました。

これが、税理士の間では、結構話題になっているので、

今回は、こちらを取り上げます。

まずは、

タワマンの相続税の節税策って何?

次に、

相続税のルールはどうなっている?

最後に、

今回の最高裁判決について

の順に説明していきます。

タワマン節税って何なの?

相続税の計算では、不動産の方が現金、有価証券より評価額が低くなる傾向があります。

その理由は、その評価方法(財産評価通達)にあるのですが、

建物は、固定資産税評価額となり、購入価額の50~70%で評価され、

土地は、路線価の評価額となり、時価の8割程度で評価されます。

なぜ、不動産の評価額は実際の時価より安いのかというと、

換金するのが厄介だから

相続人の生活基盤を奪ってしまう、先祖伝来の土地を奪ってしまうとかわいそうだからということに理由があります。

国税が手加減をしているのでしょうね。

さて、タワーマンションはどうかというと、

土地を立体的に利用するので、土地自体は少なくて済み、

土地を住人全員で共有しているので、一人あたりの土地の持分は少なくなる

ということがいえます。

土地の評価額は、通常の物件よりかなり抑えられることになります。

このように相続税の評価では、評価額が下がるのがタワーマンションですが、実際の価額は、その立地の良さ、利便性の良さなどから値崩れしづらく、市場が安定しているといえます。

タワーマンションの相続税の評価額(通達)は、時価の半額かそれ以下になっているケースもあるようです。

これを利用した節税が考えられていて、

例えば、相続財産が1億の場合、借入2億をしてタワーマンションを購入すると、

元の相続財産 1億

タワマン評価額1億(購入価額2億の半額)

借入金   -2億

合計     0円

となり、相続税がかからなくなります。

このあと、タワマンを2億で売り抜ければ相続税の課税を受けることなく本来の相続財産1億円を手にすることができます。

相続税のルールは?

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次に相続税のルールがどうなっているかというと、

実は、相続税の本法では、評価額について詳しく決まっていません。単に時価で評価するとだけ言っています。(22条)

では、税理士がどうやって相続財産を具体的に計算するかというと、

財産評価基本通達というものを使って計算しています。

この通達というのは行政が作ったもので、国会を通して作られた正式な法律ではありません。

行政の処分や法律解釈が各税務署でバラバラだと混乱するため、上位機関(国税庁長官)が下位機関(国税局)に指示する文書です。一般に公開もされています。

本来の法律ほどの拘束力はないのですが、税務署の判断基準が理解できるということで実務においては法律の次に重視されます。

税理士の立場としては、実際のところ、他に財産を評価する術がないので、

相続税の申告ではほぼ通達を使用して評価をしているというのが現状です。

通達についてもう一つ補足しておきたいことは、

通達で評価するのが著しく不適当な場合には、国税庁長官の指示を受けて評価するという項目があり、特別な問題があったときの保険のような条文があります。

最高裁判決について

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今回の裁判の内容は、

タワーマンションを通達で評価して申告した納税者に対し、

税務署が不動産鑑定士に算出させた評価額で課税処分しました。

この処理が問題ないかどうかが争われたものでした。

結論、税務署の処理が正しいとして判決がされたのですが、これが結構、読みづらい判決文なので、わかりやすい日本語にして説明します。

どういう理屈で裁判所が説明したのかというと、

まず、裁判所は、「相続税法は時価評価で財産を評価します。時価とは(お金と)交換できる金額です」といっています。

そして「通達は、単なる行政内部の文書の位置づけなので法的効力はありません。」といっています。

そうすると、「税務署は時価を超えて課税処分をしていなければ問題ないので、通達の金額を超えて課税すること自体は問題ない」といっています。

相続税法を優先するという考え方ですね。

そのあとで、

「そうは言っても現実にはみんなが通達を使って財産評価をしています。特定の人だけ通達で評価ができないというのは、平等じゃないかもしれませんね。」ということもちゃんと説明しています。

ここでは、通達を使っている現状を認める立場をとっていますし、特定の人だけに時価評価(鑑定評価)を強いるべきではないといっています。

そのあとで、

「ただし、通達を使って評価することが税金の負担面で不公平になる場合は、通達を超えた時価で課税しても平等の観点から問題ありませんよ。」と言っています。

税金の負担面で公平が保たれない場合には、税務署が時価で課税処分をすることを認めるといっています。

税金の負担が不公平になる場合とは、今回のケースではタワマンを買って節税した人と節税対策をしなかった人を比べると、とても不公平になるということです。

タワマンを買って節税した人と、節税対策をしなかった人を同列と考えているみたいですね。

今回のケースは、タワマン購入の目的が相続税対策しかなかったので、節税対策をしなかった人と比較されてしまったのかもしれません。

ここは、事実確認を綿密にされているので、購入目的は重要と思います。

ということで、今回のタワマン節税を利用した相続対策が否認されたわけです。

本来、タワマンの通達の評価額と時価がかけ離れていることに問題があるので、通達の改正を先にすべきという気もしますが、

通達では、評価額が不適当な場合、国税庁長官の指示で評価ができるとあるので、通達の取り扱いとしても問題ないのでしょう。

また、裁判所としては、タワマンの評価に通達を使うこと自体は今後も認める姿勢です。目的が相続税を減少させるということだけでなければ、時価評価を強制されることはないと思われます。

目的で判定となると、実務上は判断が難しくなりますね。

以上でタワマン節税の説明を終わります。ご参考になれば嬉しいです。

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