【福岡】うなぎの寝床と神様を送る船
縁起を巡る旅「めでたび」の概要はこちら。
エミリオ・アンバースによって構想された緑に覆われた建物。なにか目的があったわけでなく、建築探訪の気持ちでアクロス福岡を訪れた。
建物に入った瞬間、「あ」と思わず声をあげてしまった。
今回の九州の旅で行きたかったけれど、遠隔地だったため泣く泣く候補から外した「うなぎの寝床」が入っていたのだ。
このお店は地元の地域産品が集まるアンテナショップで、福岡県の郷土玩具や縁起物が多く取り揃えられている。福岡県の八女市に本店があり、本店の建築が素敵だったのでそちらに行くつもりだったのだが、思いがけず遭遇してしまった。
せっかくなのでどんな商品が置いてあるのか覗いてみよう。
お正月が近いからか、レジの後ろにはしめ縄が並んでいる。しかし我が家には既に三年分のしめ縄が正月の順番待ちをしているので、買いたい気持ちをぐっと堪える。年に何個もしめ縄飾りを購入してはいけない。そう心に言い聞かせた。
他にも目移りしてしまうほどたくさんの郷土玩具があったのだが、その中でも私の心を鷲掴んで離さなかったものを一つ購入してしまった。
福岡県宗像市で毎年10月1日に行われる「みあれ祭」の一環で、大漁旗を掲げた百数十隻の漁船が神様の乗った御座船を守りながら海上を巡航する例祭がある。この玩具はその海上神幸行事の大船団の御座船を模して、2016年から作られ始めた新しい郷土玩具らしい。
箱の中には海の荒波が描かれた船と旗が四つ。先頭の旗を変えることで、神様を乗せた船か、神様を送る船か選ぶことができる。
波模様が描かれた船はゆりかごのように揺れ、荒波を掻き分けて行くかのようだ。一番上に掲げられた、風ではためいているかのような形をした旗がかわいくて気に入った。
本来この船は航海安全や大漁などを願うものだが、この玩具は「人生行路の無事安全」の縁起物になればという願いが込められている。
揺れる船を眺めながら長い人生の平穏を祈りたい。
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