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AIによる特許の中間対応支援(サマリアの拒絶支援機能/図面対応事例の紹介)

10月2日〜10月4日の間に東京ビッグサイトにて開催された「知財情報フェア」の「パテント・インテグレーション株式会社」のブースにお越しいただきありがとうございました。

弊社が提供する「特許文書の読解支援AIアシスタント・サマリア」において6月頃より提供している拒絶支援ワークフロー機能について多くのお客様に関心を持って説明させていただきました。特に、図面も読み込んで対比させることが可能な点について多くのお客様に感心を持っていただき説明させていただきました。

この記事では、弊社が提供している拒絶支援ワークフロー機能の事例について簡単に紹介させていただきます。以下で提案する拒絶支援ワークフロー機能は、弊社独自技術であり複数の特許出願および登録特許を取得した技術が用いられています。

弊社の「サマリア」は以下のURLよりアカウント登録し、ご利用頂けるサービスです。

特許文書読解支援AIアシスタント「サマリア」

特許5447205号について

今回、事例としまして「信越化学工業株式会社」様の、特許5447205号の「薄型ウエハの製造方法」という事例を一例として紹介させていただきます。

この発明は、以下のように薄型上はの製造方法に関する発明です。なお、当該発明は弊社とは関係なく、拒絶支援ワークフロー機能の適用事例の一例として説明するものであることを付記させていただきます。

この特許請求の範囲には、以下のような化学構造式が含まれています。現在のサマリアの能力では、以下の図面に記載された化学構造式も適切に取り扱うことができます。例えば、化学構造式同士の対比なども行わせることができます。

また、もちろん、図面については化学構造式に限られず、図表や、形状(例えば、エンジンや部品の形状)なども適切に取り扱うことができます。例えば、図面中に記載された化学構造式や物品等の形状についての対比や、分類付与、各種評価なども行わせることができます。

サマリアでは、図面に対して予め画像処理を適用することにより、より高品質な出力結果が得られるような工夫を行っております。

特許5447205号

拒絶支援ワークフロー機能の適用

拒絶支援ワークフロー機能は、サマリアにログインした後に表示されるアイコンから「拒絶支援ワークフロー」を選択することによりご利用いただけます。

拒絶支援ワークフローの選択

ワークフローの起案

拒絶理由通知書のアップロード

拒絶支援ワークフローに画面が切り替わると拒絶理由通知書を読み込ませる画面が表示されます。この画面では、拒絶理由通知書を読み込ませることができます。
読み込ませることが可能な拒絶理由通知書のフォーマットは、テキスト形式、PDF形式(テキストが埋め込まれていない画像形式のPDFにも対応しています。)です。

今回は、一例としてJplat-patから取得した拒絶理由通知書のテキストを読み込ませます。

拒絶理由通知書の入力

別の事例となりますが、PDF形式の米国拒絶理由通知書、国際調査報告(ISR)、欧州拡張サーチレポート(EESR)、その他、任意の形式の通知書面(拒絶査定等)も読み込ませることができます。
この場合は、以下のようにPDFのページを選択する画面が表示されるため、読み込み対象のPDF画像を選択します。例えば、現地代理人からのレターに含まれる場合には、現地代理人の文書等は選択対象から除外することができます。なお、選択できるページ枚数は20枚が上限です。

PDF形式の任意の拒絶理由通知書も読み込ませることが可能

AIによる拒絶理由通知書の解析

次の画面では、AIにより拒絶理由通知書の解析を行わせることができます。具体的には、「AI自動解析ボタン」を選択すると、読み込ませた拒絶理由通知書の解析が開始します。
本願出願番号、引用文献番号、請求項、参照段落等が拒絶理由通知書から抽出されます。抽出結果は、そのままダウンロードすることができるため、他の用途(例えば、参照段落のみをサマリアで要約した審査官言及箇所要約の作成)にも用いることができます。
画像PDF等の場合は、公報番号に誤りが含まれている場合があるため、その場合は、適宜修正します。

AIによる拒絶理由通知書の解析

解析結果は、以下のようにExcel形式でダウンロードすることもできます。

特許文書の読み込み・処理内容の選択

次に、本願、引用文献の特許文書の読み込みを行わせます。なお、弊社データベースに収録されている特許文書については、自動的にデータベースを参照して取得するため、ユーザによる入力作業は不要です。
ただし、2回目以降の拒絶理由通知等の場合において、既に特許請求の範囲が補正されている場合は、「項目ごとに入力」ボタンを選択し、特許請求の範囲を差し替えを行う必要があります。
最後に、処理内容を選択し処理を実行します。しばらく待つと、処理結果(拒絶理由解析レポート)が出力されます。

拒絶理由解析レポート

拒絶理由解析レポートの詳細は、以下のサンプルファイルをダウンロードしてください(出力結果は、PDF、Word、Excel形式でダウンロードすることができます)。
それぞれのサンプルファイルを以下に示します。

出力結果サンプル

拒絶理由解析レポートでは、本願の請求項の各構成要素と、引用文献の記載内容との比較箇所があります。この発明では、請求項3に化学構造式が含まれていますが、引用文献(こちらも図面が含まれ得る)と適切に対比されていることがわかります。

その他、本願、引用文献のサマリなども出力されるため、それらの文献確認時間を低減することができます。

本願と引用文献との一致点・相違点の検討

なお、この出願は、その後、請求項3と一部付加的な構成で減縮することで権利化されています(意見書抜粋)。

実際の手続き補正の内容(意見書抜粋)

このように、サマリアでは上に示すように、特許のテキスト文書だけでなく、本文中の図表も含めて解析させることができます
例えば、以下のような図面指示では、図表中の値を適切に抽出し、Excelで手軽にダウンロードいただくことができます。
一例として、特開2022−503330号の、表1A〜表1Eに対する値抽出結果のサンプルを以下に示します。

今回、サマリアの拒絶支援ワークフロー機能において、図面読込機能のアップデートを行った点について説明させていただきました。この機能により、一般的な質問や、図表に対して言及する質問等についても適切に解析させることができます。これにより、特に、材料、化学分野の特許実務においてAI利活用の進展に貢献できたと考えます。

サマリアの個別文献読解(複数文献対比)の補足説明

なお、実際の拒絶対応業務においては、以下のようにサマリアのメインの読解支援機能を用いて、本願と引例を対比させたり、引例同士を対比させて読み進めることにより、全体として拒絶対応の作業時間および作業効率を向上させることができます(この場合も図面はもちろん考慮されます)。
具体的に、「特許文書1(本願)の、・・・と、特許文書2(引用文献1)の・・・との一致点、相違点を説明して」などの指示を行うことにより、以下のような出力結果が得られます。

対比検討の出力結果サンプル(個別文献対比)

特許文書1と特許文書2における「カバー部材」と「揮散体」の一致点と相違点について説明します。
一致点
1. 構成:
- 両特許文書において、「カバー部材」は円筒状の側壁部と底壁部を持ち、容器の上部を覆う形状をしています。これにより、内部の薬液を保護し、揮散体と連携して機能します。(0025[1]), (0027[2])
- 「揮散体」は、薬液を吸収し揮散させるための部材であり、両文書ともに吸液板と揮散板を備えています。これにより、薬液が外部に揮散される仕組みが構築されています。(0032[1]), (0035[2])
2. 機能:
- 両特許文書の揮散体は、薬液を吸収し、揮散させる機能を持っています。揮散体が薬液を吸収することで、香りや効果を持続的に外部に放出することが可能です。(0036[1]), (0038[2])
3. 効果:
- どちらの文書においても、揮散体が薬液を効果的に揮散させることで、香りや機能性成分を周囲に広げる効果があります。(0037[1]), (0039[2])
相違点
1. カバー部材の接続構造:
- 特許文書1では、カバー部材の上端が容器の側壁部に接触することで固定される構造が示されていますが、特許文書2では、接触面に凹部形成され、カバー部材が容器にしっかりと固定されるように設計されています。(0025[1]), (0031[2])
2. 揮散体の形状と配置:
- 特許文書1の揮散体は、吸液板が排出管を挟むように配置されているのに対し、特許文書2では、揮散体の吸液板が排出管よりもやや下方に延びる形状をしています。これにより、薬液の揮散の仕方に違いが生じる可能性があります。(0034[1]), (0036[2])
3. 凹部の設計:
- 特許文書1では、カバー部材の底壁部に凹部形成されていることが示されていますが、特許文書2では、凹部が側壁部の上端部には接しないように設計されている点が異なります。(0031[1]), (0033[2])
以上のように、両特許文書における「カバー部材」と「揮散体」は、基本的な構成や機能においては共通点が多いものの、具体的な設計や接続方法においては相違点が存在します。

特開2022-112038号、特開2022-1102044号との対比結果

サマリアの出力結果では、「参照段落」が非常に細かく出力される(特許取得済の独自技術です)ため、特許明細書中の参照箇所を短時間で特定することにより、読解効率を向上させることができるとともに、構成見落としなどの読解品質も向上させることができます。

サマリアは、このように実際の知財実務の現場において有効な様々な機能を備えた弁理士が開発した実践的なAIアシスタントツールです。出力品質についてはまだまだの部分はありますが、導入効果を実感いただき既に大企業を含む複数社にご導入頂いております。

弊社では、引き続き、サービス改善に努めてまいります。
是非、導入をご検討ください。


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