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みんなが気に入る味付けって難しい

れんげ舎の新しい拠点には共有のキッチンがあり、「みんなでどうぞ」と誰かが料理をつくっておいてくれることがあります。どれも普通に美味しいし嬉しいのですが、はじめのうち妙に薄味(というか薄ぼんやりした味?)の料理が多く、「あれ?」と思いました。

安全圏の味付けってつまらない

「妙に薄味だな…、なんだか薄ぼんやりした味の料理が多いな…」

そう気付いてから、なんとなく「こんな理由かも」と薄々感じていたことがありました。それは、その味付けが好きだからそうしているのではなく、安全な味付けをしている、ということでした。

あるとき、自分でつくった料理にクレイジーソルトをかけながら食べている人がいて、「それなら最初からそういう味付けにすれば?」と声をかけたところ、「薄味にしておけば、味の調整が出来ると思って」という返事が返ってきました。

気が利いているようですが、僕はなんかちょっと腰が引けていると感じました(笑)。

その人の味が食べたい!

確かに薄い味付けにしておけば調整が利きますが、ある意味では未完成のようなもの。それよりも、「その人の味」が食べたいな、と思いました。

そんなことを話していたら、「自分もつい薄味にしちゃう」とか「もっと辛くしようとしたのに控えめにした」みたいな人がいることが分かり、みんなで笑いました。

どうやら、「その人の味」を食べたいという人は僕だけではなかったようでした。当番とかではなく勝手につくって置いておくだけなので、口に合わなければ食べなければいいわけですし、今ではみんな思い思いの味付けで料理をふるまってくれます。楽しいです。

「文句が出ない」というつまらなさ

文句が出ないようにしつらえるというのは、気が利いているようで、ちょっと何かが足りない、一歩手前で止めているという場合があります。もちろん、無難な選択が悪いわけではありませんが、やっぱりそういうのってつまらないなと思いました。

会話でも、文句が出ない言葉だけを選んでいたら、十分なコミュニケーションが出来ません。薄ぼんやりした話が出来ても、相手の心に触れるような話は出来ませんよね。

好き嫌いってどうにもならないから、時に残念な思いもするけれど、時には自分の味を思い切り出してみるのもありですよね。

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長田英史(おさだてるちか) / NOT SHIP
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