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感動と日常

本や映画、イベント、芝居、コンサートなどのコンテンツに触れて、感動することがあります。感動って本当に素晴らしいんだけど、持続しないんですよね。日常が苦しい人は、素晴らしい感動を得ても、時間が経つとそれが薄れてまだいつもの辛い日常が戻ってきてしまいます。

リアリティの違い

仕事でハワイに赴任した人が、3年くらい経って日本に戻ってきたとします。その人は、ハワイの文化、生活、空気感が心底気に入って、「ハワイこそ自分の生きる場所だ」と感じています。

でも、まぁ仕事ですから、日本に戻ってきました。それでも、ファッションとか、仕事の仕方とか、考え方がハワイっぽく変化していて、周囲からは「◯◯さん、ハワイぼけだからね」みたいに言われています。

ハワイで暮らし、たくさんの感動や感銘を受けたその人にとって、変化が起こるのは当然かもしれません。でも、日本の会社に戻ってくると落差があるのも事実。ハワイと日本のどちらが優れているとか、そういう話ではありません。少なくともその人にとっては「リアリティ」が違うのです。

感動は薄れていくもの

大きな感動を得ると、人は内側を揺さぶられます。自分を変えたい、と思うことだってあるはずです。

でも、感動は時間が経過すると、どんどん薄れていきます。この感動をそのままキープ出来れば、暮らしを変えるのは容易でしょうが、感動は消えてしまいます。そして感動が薄れるということは、いつものリアリティが戻ってくることを意味しています。

感動はキープ出来ませんが、感動したその場にあった要素は、工夫すれば日常に持ち帰ることが出来ます。先ほどのハワイ帰りの人は、ハワイ暮らしで感銘を受けた要素を、日本社会に持ち帰りました。ただ、周囲からは「ハワイぼけ」なんて言われていますから、それをキープ出来るかどうかはちょっとしたチャレンジです。

感動を感動だけで終わらせても構いません。でも、感動を持ち帰りたいと思ったら、感動そのものではなく、感動した場を要素に分解し、その中で「これは日常に持ち帰りたい」と思った要素を、どう持ち帰るのかを工夫します。

僕は「場づくり」の専門家なのですが、そうした要素を生きられる「場」を日常につくることは、日常を変えるきっかけになります。日常的なリアリティとは違う、自分の求めるリアリティを部分的にでも実現出来ると、すごく元気が出ますし、その先も見えてきます。

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