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「不安定さ」が力に! 安定って意外に不自由なのかも

「不安定な人」と言われると、ちょっと頼りない感じがします。不安定よりも安定の方がよさそうです。でも、不安定さが力に変わり、安定が足かせに変わる──そんな時代が来ると思うのです。

すごく不快な「不安感」

不安定さが心理的な「不安感」につながると、すごく不快です。不安って嫌な感じですよね。一方で、安定から安心感につながるのは、とても良い感じです。不安定さが嫌われるのは、まずそんなことがあるからでしょう。

また、戦後の日本社会は、長い間「安定」と「幸福」が結びついていました。勉強して良い学校に入り、終身雇用の良い会社に就職し、良い人と結婚して、子どもに良い教育を受けさせ、老後は子どもたちの収入で安定した余生を送る──。

いわば「老後の安定のために受験勉強をする」という超長期設計で、安定と幸福が結びついていました。そういう設計が成立するには、安定した社会が必要ですが、戦後復興から1990年代の初頭までの日本社会は、非常に安定していました。

それからというもの、社会の安定は次々と壊れていき、コロナ以降はそれが急加速しました。社会の長期安定を大前提としていた幸福モデルは、フルモデルチェンジが必要です。

変化の激しい社会でどう生きる?

仁王立ち、という姿勢があります。寝ている時ほどではありませんが、安定した姿勢のひとつです。

でも、両脚に等しく力がかかっているその姿勢は、「動き出す」ためには不向きです。歩く動作には、片足立ちが組む込まれています。片足で立つのはとても「不安定」ですが、片足で立っているからこそ、次の一歩を踏み出すことが出来ます。

不安定さとは、次の一歩を踏み出す自由さをもたらすことにもつながります。

このような変化の激しい社会で、ただただ仁王立ちで耐え忍んでいても、あまり楽しくなさそうです。乱世においては、姿勢を次々と変えたり、移動したり、自らの在り方にも変化を呼び込む柔軟性が必要です。

日本は「安心・安定」と言われてきました。比較においてはそうだったと思うのですが、そもそも「100%の安心安全」などはじめから存在しません。このことは、コロナ禍でみんなが体験したことからも明らかです。

不安定さってきついことも多いけど、あまりネガティブにとらえずに、それを推進力につなげていけたらと思うのです。

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長田英史(おさだてるちか) / NOT SHIP
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