「NPOを作りたい」が意味不明な理由
僕がNPO法人の代表で長年事業を行っているということもあり、「NPOを作りたいんだよね」みたいな相談を受けることがあります。でも、この「NPOを作りたい」っていう話、いつも意味不明だな〜と思うのです。
NPOについて簡単に開設
NPOというのは、非営利団体という意味です。Non-profit Organizationの略語です。
広義では営利を目的としない組織であれば、何でもNPOだと言えます。同窓会なんかも非営利組織ですし、草野球チームも非営利といえば非営利ですよね。でも、彼らは自分たちをNPOだとは思っていないはずです。
狭義では、社会貢献を目的とした非営利団体という意味合いです。こちらの方が多くの人のイメージにぴったり合うでしょう。最も狭い意味では、日本では「NPO法人」を差します。
NPO法人は、正式には特定非営利活動法人と言うのですが、「特定」と言っても、普通の人が思いつく社会貢献のジャンルはほぼ網羅されています。社会貢献活動を行う団体に積極的に法人格を与え、もっと活躍してもらおうというのが法律の趣旨です。
ただの法人格でしかない
NPO法人というのは、ただの法人格です。株式会社とか合同会社とか一般社団法人とか様々な法人格がありますが、それらと並列的な位置付けです。それでも、「NPOを作りたい」というのが意味を持つような錯覚があるのは、「社会貢献をする」というニュアンスの特別感でしょう。
確かに、NPO法人は社会貢献(公益活動)をしているわけですが、営利法人である株式会社や合同会社等は、社会に貢献していないのでしょうか?もちろんそんなわけありません。むしろ、社会に貢献しているからこそ商売が成り立っているわけですし、納税によってこの国を支えているのも大きな貢献です。
NPO法人は、「社会貢献をしてます!」という当たり前のことを、あえて自分から改めて言っちゃうような、どこか過剰なところがあるとも言えます。「社会起業家」なども同じですね。
大切なのは「あなたが」何をしたいのか
確かに「NPO法人をつくりました」というと、何かを成し遂げたかのようなニュアンスがあるかもしれません。でもそれは、「私はこのジャンルに属しています」と言うだけのことです。
大切なのは、どのジャンルに属しているかではなく、そこで自分が何をしようとしているのかです。
「NPOを作りたい」という人は、思いがあるはずです。その思いを、法人格やNPOというジャンルに反映させる前に、まずまっすぐに「こういうことのために、こういうことをする」と表現する。そして、もう事業でも活動でも始めちゃう。始めてしまえば、いつどんな法人格が必要になるのか、自分たちに合うのか、それは自然と見極められます。