心の浮き沈みを楽しむヒント
心の浮き沈みは、生きている以上は避けられません。浮いた心はやがて沈みますが、たとえ沈んだとしてもまた浮かび上がります。これはとても簡単な話で、多くの人が「そうだよね」と同意する法則のようなものだと思うのですが、実際には心の浮き沈みに翻弄されてしまう人が大勢います。
心の浮き沈みを避けるとか、沈んだ心をケアするとか、そういう話をよく聞きます。今回はさらに積極的に、「心の浮き沈みを楽しむ」ということについて書こうと思います。
心には「浮き沈みの法則」がある
心の性質は、変化するということ。「浮いたら沈む、沈んだら浮かぶ」という「浮き沈みの法則」があります。
毎日、決まった文字数(120文字程度)のジャーナリングを続けると、それに気づけます。個人差はありますが、例えばある日には勇気と希望に充ちて「やってやる!」と思っていたのが、別の日には「自分なんてもうダメだ…」と思っている、というようなことは普通にあります。僕自身、ある期間毎日の短い記録をつけ続けることを通して、「浮き沈みの法則」を発見しました。
「浮き沈みの法則」は、改めて言うまでもないような自然な話ですが、それでも人は目の前の状況に囚われがちです。気持ちが上がっていると「もう大丈夫!ずっとこのまま良い調子でいける!」みたいに勘違いしますし、沈んでいると「もうずっとこのまま暗い世界が続く」と思えてきます。「浮き沈みの法則」を忘れてしまうのです。
ジャーナリングの価値はいろいろ言われていますが、心の浮き沈みへの対応能力の強化にも使えます。書くだけでなく、記録を繰り返し読み返すことで、過去の自分の状態を客観視できるようになり、やがて現在の自分の状態を客観視できる力が育まれます。
沈むからこそ見える美しさ
心の浮き沈みがつらい人には、120文字程度の短い記録を毎日つけて、それを読み返すことを勧めたいです。僕には、効果的でした。
ただ、思うのです。浮き沈みって、悪いことじゃないよねと。心が変化するのはやっかいなことでもあるけれど、浮き沈み自体は自然なことで、悪いことではないはずです。
それに、気持ちが沈んだときにしか見えない景色って、あると思うのです。例えば、孤独感や寂しさにはつらい側面がありますが、そういう時だからこそ知覚できる風景の美しさがあります。そういう時だからこそアクセスできる真実があり、可能になる表現があります。
心のBGMは自分で選べる
心の浮き沈みは人生の一部であり、避けることはできません。それならば、沈みをどう受け止めるかが鍵となります。孤独や悲しみをただやり過ごすのではなく、直面することで見えてくる癒しや美しさに目を向けてみる。とっても大人な、洗練された対処法だと思うのですが、いかがですか。
僕がよくやるのは、例えて言うなら「BGMを変えること」です。例えば、自分が「暗いシーン」のなかにいる、悲壮感たっぷりなBGMが流れているような感じがしているときに、頭のなかでコミカルな曲を流してみる。コメディにしちゃう(笑)。無理矢理に別の認識をつくるというよりは、セルフでツッコミを入れて客観的になれる、という感じです。
浮き沈みを避けるより、楽しむ。自分に合いそうだと感じたら、試してみてください。