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運命とか立命とか宿命とか⑦

朝起きたら、お腹の子供が動かない・・・。
いつも元気に動き回っていたのに、急に動かなくなってそれでも半日は様子を見ていました。なんかおかしいな~と思いながら、過ごしていると、「病院に行った方が良いと思うよ」と家族から言われ、病院に行きました。エコーでお腹の様子を見ている先生の表情は変わらず、看護師さんに「廊下でしばらくお待ちください」と言われ待ってると、しばらくしてまた呼ばれ、「お腹の子の心臓が動いていません。」と先生から告げられました。頭が真っ白になりました。まさか自分にそんなことが起きるなんて思いもしなかったので、心の準備ができずにいました。
たまたま看護師さんで一人、小学校の同級生がいました。彼女は廊下でたくさん泣いてくれました。私になんて声をかけて良いか分からない様子で、でも主人が病院に来るまでずっと側にいてくれていたのを覚えています。
その後、「死産」の準備をしていきます。
4日後に入院し、出産することになりました。その間、家で私と一緒に最期を過ごすことになりました。辛かったのはお風呂でした。このお腹の中にいるんだな~と思い眺めていると、自然と涙があふれてきます。

入院当日、荷物を持って通された部屋は母子ともに健康に出産を控えている、もしくは出産後のママがいる部屋からは少し離れた個室を用意してくれました。病院側の配慮だと思います。赤ちゃんの泣き声や他のママの声は聞こえず、ただただ静かに時間の流れる部屋でした。
出産当日、赤ちゃんは亡くなっていても陣痛って起こるものなんですね。誘発の点滴はしたものの。内心「帝王切開で出してくれたらいいのに」なんて思ったりもしましたが、母体のことを考えてのことだと思います。普通に陣痛は苦しく、生まれるまでやっぱり大変でした。
当然生まれてきた我が子の泣き声は聞こえず、立ち会ってくれていた主人が言うには首に四重もへその緒が巻かれていた状態で出てきたそうです。元気いっぱいにお腹の中でグルグル動いてしまったのでしょう・・・。
何とも表現しようのない我が子。死んでいても可愛いし、どことなく息子に似ている。
入院中、毎日看護師さんが赤ちゃんを病室に連れてきてくれます。これは想像ですが、生まれたのが初夏でしたので、遺体は霊安室のような所に安置されているはず。なので冷たい中にいるはずなのに、私の所に来る時は、体は冷たくなく、かわいいベッドに寝てやってくる。これもきっと母親への配慮なんだと感じました。ただ、部屋がよく日が入る部屋で日中室温が高く、赤ちゃんをずっと部屋に置いとくとあまりよくないのでは?なんてちょっと気にして赤ちゃんを早めに看護師さんにお返ししていました。(一緒にいるのもちょっと辛かったのもあったりしたので)
妊娠中、「コウノドリ」というドラマを見ていました。山梨県出身の漫画家の漫画をドラマ化した産科医のお話です。この中で、死産をテーマにした回があって、見た時は衝撃的で、こんなことが実際あるんだ~と他人事として見ていました。それが、今、目の前で現実に自分に起こっているんだなと改めて考えさせられました。ドラマを見ていたからか、どういうことをするのかちょっと覚えていたのもあり、、、
入院中に足形、手形をとったりしました。沐浴は私はしませんでした。でもこちらが希望することを産科の看護師さんたちは聞き入れてくれます。また、全国で死産、流産を経験した方々の相談グループなどの情報も教えてくれて、きっと気持ちの整理が難しい人やなかなか立ち直れない人はそういうところで話を聞いてもらうことは大事だと思います。

どちらかというと入院中、私より主人の方が辛く大変な経験をしました。

「運命とか立命とか宿命とか⑧」に続きます。


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