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【勝手に分析】このデザインのここが素敵 〜ニッチな視点編 その1〜

はじめに

はじめまして、デザイン業を生業としておりますOsatoと申します。
デザインのことや、それ意外のことを色々不定期で綴って行きたいなと思いますので温かい目で読んであげてください。どうぞよろしくお願いします。

普段、さまざまなグラフィックデザインを目にしてて思うことが、本当に素晴らしいクリエイティブは目を引くインパクト性だけでなく、細部にまで心を込めて丹念に作り上げられているものが多いな、ということです。この細部へのこだわり具合を「リッチさ」と呼ぶことが多いのですが、今回はそんなプロならではのこだわりやさりげないテクニックに注目し、他のクリエイターさんがどのようにそのリッチさを実現しているのかを勝手に探ってみました。あくまで個人的見解&ニッチな視点ではありますが、何かしらのお役に立てる情報になりますれば幸いです。


①干渉と回避

デザインをする上でテキストの可読性を担保するのはとても重要なこと。とはいえ、全ての情報を極限まで読みやすくするために、何でもかんでも文字から避ければいいのかというとそうでもない気がします。
上の画像のタイトル「2023」の部分ですが、ノート輪郭の黒線はテキストを避けつつも、方眼のグレー線は敢えて文字の背景に回り込ませてるのが確認できると思います。この演出、非常にニクイです。可読性・視認性をきっちり担保しつつも、「全部避けちゃえ」と機械的に判断せず、さりげない崩しを入れた演出に、職人さんの丁寧なこだわりっぷりが(勝手に)垣間見えます。
※あと何気にくまさんが文字の前に来てて、さりげ奥行きある演出になってる感じ、個人的に大好きです。


②らしさと物理法則 Part 1

次にご紹介するのは、グランジ表現がとてもかっこいいクリエイティブです。大きく配置されたチケットの全体に、うっすらとノイズが入ってるのが確認できると思いますが、よく見るとノイズの分布具合が均一ではないですね。
この分布のばらつきが「紙の劣化具合」や「再生紙の質感」をとても素敵に演出してるなと感じました。本などの印刷物って周りから黄ばんでいくので、その辺りを意識しながら制作されたのかなと勝手に推測。これまたお見事なこだわり演出。
※全然本編と関係ないですが、Cokeの文字のみ白で配色してるの痺れるほどかっこいいなと思いました。小憎らしい。


③らしさと物理法則 Part 2

今回最後になりますのが某有名緑茶のクリエイティブ。
画像右側の演出になるのですが、
・風呂敷包み→水面にホバリング
・20thの文字→水に浸かってる
この対比的な演出によって、このクリエイティブ全体にとても神秘的な印象を与えてくれるように感じます。中でも特にやりおる!と思ったディテールは、20thの文字の一部を水に浸らせつつ、あえて見せないようにしている点でした。水のたゆみや柔らかさ、無形といった「物理的感覚」や「らしさ」を見事に表現し切っており脱帽の職人芸、天晴れが過ぎます。また、左右2グリッド(緑の世界と白の世界)にて分断された表現になっていると思いますが、両グリッド共通してハイライトは左上、影は右下に落ちていることが確認できると思います。光源設定が徹底されており、物理的に理にかなった構成になっているあたりも流石の一言です。


最後に

今回紹介させていただいたのは以上の3つの事例になりますが、どの事例にも共通して言えることは
・機械的に判断し、画一的に作業をしていない
・らしさや世界観演出を高めるための「プラス一手」を捻り出している

かなと思います。
表現したいクリエイティブが「どんなシチュエーションなのか、どんな手触りなのか、どんな音が聞こえる世界なのか」など、色々と想像張り巡らせながら自分なりのリアリティを作品に投影していくこだわりの一手こそが作品をリッチに仕立て上げ、心に響く感動の源泉となっているのではないかと感じます。

それではまた次回(不定期)お逢いしましょう。ご精読ありがとうございました。


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