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感動を最大限に伝えたい厚岸・釧路の旅 1日目

楽しかった厚岸・釧路の旅。その時その時に感じた気持ちを綴り、時間が過ぎても「あ〜、あんなことあったなぁ」と自分で思い返せるような紀行文としました。
こちらの方面にご旅行を計画している方々の参考に、また訪れたことのある方々にお読み頂き、共感して頂けたたら幸いです。

旅立ちの朝

待ちに待った出発の日。9月7日。
50分後に迫ったフライト。羽田空港で生ビールを飲みながら、ここまでの長かった日々を振り返えってみる。

旅の楽しみ朝生ビール

約4ヶ月前のANAのセール。飛行機に乗って何処かへ行きたい。旅をしたい。まあ、そんな思いを抱くのは日常のことだけれど、今回は何か特別な楽しみ方をしたいと思っていた。

3ヶ月に一度発売される北海道の厚岸ウイスキー。ちょうど厚岸ウイスキー立春を楽しんでいる頃だった。厚岸ウイスキーの醸造所を見学してみたいと思い検索すると、厚岸・道の駅コンキリエが行っていると言う。早速羽田釧路間のフライトを検索するも、丁度よい便はセールの対象になっていない。しかし早割にて最安値で予約出来るため、ぴったりの便を中心に旅のプランを立ててみる。旅行会社に勤務していたことのある私。つまりは旅行会社は私、添乗員は私、そしてお客様は私と言う訳だ。

醸造所への見学ツアーが催行されるのは、土曜日と日曜日のみ。当日朝には現地にいなくてはならないので、自分の店の休業を最小限にするためには、土曜日を休んで日曜日に参加する以外方法はない。土曜日のかき入れ時に店を休む覚悟を決め、行きはANA、帰りはエア・ドゥ(ANAとの共同運航便)にて予約した。同じ便であっても、エア・ドゥで予約した方が安く取れる。

厚岸ウイスキー醸造所見学ツアー、9月分の申し込み開始は7月中旬とホームページに記載がある。航空券予約をしたのが5月末であるので、そこからの予約開始の日までがとてもとても長い。そしてもし見学申し込みが出来なかったら、旅の目的を達成することは出来ない。

7月初旬。道の駅コンキリエに連絡する。7月中旬という漠然とした予約開始日が明確になっているのなら、教えてもらいたいと。すると9月初旬のツアーは催行されないと言うのだ。すでに航空券予約を済ませて落胆する私に、コンキリエは救いの手を差し伸べてくれた。

「厚岸にあるホテル五味さんでも醸造所見学ツアーを行っていますよ」と。すぐさまホテル五味へ連絡。宿泊客を対象にツアーを行っていて、また空きがあると。

も!もちろん泊まらせて下さい!!

厚岸蒸留所の見学と宿の確保が出来、ホッとした。旅は2泊3日。1日目と2日目は牡蠣とウイスキーにまみれ、3日目はどうするか。その頃タイミングが良ければ鮭の漁が始まっている季節である。25年以上、秋になると毎年仕込み続けている私の店のいくらの醤油漬け。どこか釧路にある加工会社で見学させてもらえるところはないだろうか?何かアドバイスをもらえたり、疑問に答えてくれるところはないだろうか?
するとネット上に、以前行われた地元紙による、ある工場の見学レポートを見つけた。当たって砕けろ!この会社に何度か電話すると、9月初めにはまだ工場での操業が始まっていないかも知れないが見学してもいいと、社長さんに許可をもらえた。熱意が通じたのだ。

美味しい海の幸を楽しみ、釧路湿原の雄大さを感じる。そんな3日目にするにはレンタカーが必要だ。釧路の宿も確保し、旅の骨格が出来上がった。

朝食は羽田空港の丸亀製麺。かけうどん小。大好きなうどんでエネルギー補給。

丸亀製麺かけうどん

35分遅れてANA741便は釧路へ向けて飛び立った。雲上へ抜けると夏空にぽっかり浮かぶ富士山。

富士山さん♥ 旅を見守ってね

栃木県あたりには立体的な雲がかかり、美しい景色にうっとりする。これだから空の旅はやめられない。たとえ雨だろうとも、飛行機は雲上の別世界に連れて行ってくれるのだ。
本州を離れ、眼下に下北半島と津軽半島が見える。そして遠くに羊蹄山、襟裳岬が見えてきた。

手前が下北半島、奥が津軽半島
襟裳岬

搭乗便の遅れで、予定している釧路駅から厚岸駅までの列車には乗れないだろう。旅とは予定通り進むとは限らない。前にも書いたが、トラベルの語源はトラブルから来ていると聞いたことがある。

釧路空港(正式名称たんちょう釧路空港)には12:45に到着。

釧路空港からJR釧路駅へ

飛行機の到着を待っていてくれた空港連絡バスは13:10に出発し、釧路駅に到着いたのは14:00であった。

釧路駅

13:25の根室本線の列車を逃してしまったので、次に来る列車は16:06とかなり待つ事になる。厚岸までもう一つの行き方は路線バス。乗車時間も料金も列車とそれほど変わらない。そう、バスの旅もいいな。釧路駅構内の売店でおにぎりとザンギ(唐揚げ)イカリングセットを買い、14:15のバスに乗る。

厚岸へ向かうバス

乗客は2人。途中大きなイオンで1人降り、そこで2人乗る。地方都市に来るとつくづく思う。イオンが人々の生活を支えているのだ。

お客さん少ないので、車中で頂きます

市街地を離れ森の中をひたすら走り、厚岸に近づくにつれ牧草地が広がる。牛の姿は見えす牧場には馬ばかりだ。後に聞くと中国の業者が食用馬肉を育てていて、厚岸馬刺しとして売り出そうと試みているそうだ。

厚岸は近い。森を抜け開けて来た

バスに揺られ約1時間後、厚岸駅に到着。厚岸駅前に建つ3階建てのホテル五味。

厚岸栄前に建つホテル五味

チェックインを済ませ部屋に荷物を置き、小高い丘に建つ道の駅コンキリエへ徒歩で向かう。

跨線橋を渡り、コンキリエへ

3年前に来た時には、月曜日定休日とは知らず、2種類の牡蠣食べ比べが出来ず途方にくれた。でもここから見た美しい夕焼けは今でもまだ記憶に残る。

再び来たよ!!道の駅コンキリエ!!

ここコンキリエの1階は軽食、お土産売り場、観光案内所が入る、2階には3つのレストラン(1つは臨時休業中)、3階4階は展望フロアとなっている。2階の炭焼炙屋にて、生でまるえもん牡蠣3個と焼きでかきえもん牡蠣2つ、ホッキ貝を1つ注文した。

目の前に広がるのは、ご馳走と言う海だ

そして合わせるは厚岸ウイスキー!といきたいところだが、ホテル五味の蒸溜所見学ツアーに参加する者には、前夜にホテルのバーにて厚岸ウイスキーが2杯飲めるので、ここは牡蠣に合うと言う日本酒・・・いやカキシュワと言うスパークリング日本酒をメニューに見つけたのでチョイスしてみた。

カキシュワ〜

りんごのような酸味が特徴のお酒と共に牡蠣を楽しむ。3年前に出来なかった夢が叶う。いや、3年前にはレンタカーで来ていたのでお酒は飲めなかったが。

生牡蠣の向こうは焼き牡蠣と言う絶景
大きなホッキ貝はハサミで切れ目を入れて

厚岸には、まるえもん、かきえもん、弁天かきと3種類の牡蠣がある。どれもとても美味しく、今までまるえもんを食べたことがなかったので、これで3種類制覇だ。
ん?あれ?ポスターを見るとナガエモンと言う品種が増えてるではないかっ!

ここコンキリエからの美しい夕焼けをもう一度見たいと待つが、西の空は厚い雲で覆われ始めてきた。恐らく夕焼けは見られないだろう。ふとドッグランのある芝生エリアを見てみると、野生の鹿の群れがやってきていた。

鹿に睨まれても、シカトしよう

夕方になると少し肌寒さを感じる。今夜の晩酌場所をリサーチする。口コミは、知らない街においてとても参考になる。高級店ではなく、一人でも楽しめそうな店を探す。

旅をしていると、地元のスーパーやコンビニに行くことが楽しい。その土地その土地の名物や限定商品に出会えるからだ。厚岸イオンとセイコーマート(北海道内と何故か遠く離れた茨城県などに数店ある)を覗く。1年半前の札幌函館旅でカップ麺を色々買ったが、それ以降に発売されたカップラーメンやおせんべいが沢山あった。旅はまだ初日。リサーチのみで買うのは後にした。

港が近い。コンキリエから見られなかった夕焼け。ここからワンチャンあるのかな?と西の空を見ると、雲と山並みのわずかの隙間が真っ赤に焼けている。厚岸大橋まで行けば更に美しい夕焼けに出会えるかも知れないけれど、もし移動していたらのなら終わっているかも知れない夕焼け。ここ港の施設越しに楽しんだ。

真っ赤に染まる夕焼け

ろばた焼き「まさご」。カウンターに座り生ビールをホヤの塩辛と共に乾いた喉に流し込む。

生ビールとホヤの塩辛

私よりもだいぶ大先輩になる店主との楽しい会話。やきとりを注文し芋焼酎を味わう。

やきとりつくね、皮、はつ

隣に座る日高からのお客さんと大いに盛り上がり、一緒に厚岸市内の飲食店で飲むことが出来る「厚岸ウイスキー牡蠣の子守唄」を楽しむ。

厚岸ウイスキー牡蠣の子守唄

ここ厚岸では、飲食店用に流通している牡蠣の子守唄は、どこでも1杯880円(税込み)と格安で飲める。厚岸ウイスキーファンにはたまらない街なのだ。
私にとって旅の醍醐味は、なんと言っても「人との交流」。現地で暮らす方、出張で来ている人、同じように旅する人。同じ価値観だったり、偶然にも地元が一緒だったり、思いも寄らない繋がりがあったりと楽しい。
その後、このお客さんと入れ替わりに入って来た隣の寿司屋の大将とも会話は弾み、約3時間の楽しい時間を過ごした。

ホテルに戻り、バーコーナーへ赴く。団体のお客さんたちが楽しげにグラスを傾けている。私一人のためだけに、奥まったテーブルを設けてくれた。おつまみに出されたピーナッツの燻製も旨い。

厚岸ウイスキーを燻製ピーナッツと共に

宿泊者向け厚岸蒸留所見学ツアー。料金に含まれた2杯のウイスキー。自分の持つ拙い語彙、表現力をもって、なんと表現したらいいのだろう。

厚岸ウイスキーニューメイク15ml

蒸留したてで、無色の原酒
新酒の荒々しさ
嫌ではないプンプンと立ち上るアルコール臭
奥行きはないものの、内に秘めた力強さ
樽での熟成がないので、ウイスキー独特の香りはない
ホテル支配人にすると「焼酎みたいでしょ」と

牡蠣の子守唄30ml
厚岸市内飲食店限定品のブレンデッドウイスキー

24節気シリーズのブレンデッドと比べると、少し落ち着いた味わいに感じる。しかし厚岸の特徴のスモーキーさは感動もの
45度と他のリリースよりもアルコール度数低め(ブレンデッド48度、シングルモルト55度と比べると)で軽やか

これらを味わい、部屋に帰ろうと席を立つ。帰る前に支配人にここへ来たかった熱い思いを語る。今まで飲んだことのある銘柄や翌日の蒸留所見学についてなど。
すると話が弾み、バックバーに並ぶ厚岸ウイスキーを始めとした美味しそうな銘柄の数々を眺めていたら、もう一杯だけ楽しみたくなってしまった。

魅惑のバックバー

今や手に入らない、もしくはここでしか読めないもの、美味しいものは何かと尋ねると、支配人のチョイスは岐阜にあるウイスキー専門店クラウドウイスキーの名前の入る「厚岸ウイスキーくろうど」。少し値は張るが、とてもバランスが良い美味しいウイスキーだと。

厚岸ウイスキーくらうど

なるほど。スモーキーさも程よく、甘くバランスも良い。支配人と話を進めると、私とも色んな方とのご縁があることに驚く。本当に人と人との繋がりに感謝だ。

部屋に戻りシャワーを浴びて、この日飲んだ4杯の厚岸ウイスキー、今まで飲んできた銘柄を思い返す。これらのウイスキーの里を明日、訪れることが出来る喜びを感じ、夢の中へと落ちていった。

2日目はこちら


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