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冬の温度

途中で暑くなってもいいと、ウインドブレーカーを着て正解だった。走って身体の芯がじわりと温まるが、マンションの間から抜ける風は冬だ。
すれ違う人の装いもまた、冬のそれであった。

ついこの前まで、太陽が肌を刺し、焼き付けていた。
だが思えば、もう去年のこの時期は愛車のタイヤ交換をして凍結路に備える頃だった。
住む場所が変わり、冬の訪れを感じるきっかけもまた変わっていた。

おそらくもうすぐ、北風が肌を刺しつける時期が来る。
基礎体温が低い私は、寒さが苦手だ。

ただ、辛い寒さの対極にある優しさは、一層温もりを含み記憶に残る。

少年野球の練習から帰り、かじかんだ手で、母が作ってくれた温かいココアを飲んだ食卓。
安い台湾料理屋で酒を飲み、いつもと同じ話で笑い合い、解散する前に親友4人でタバコを吸った喫煙所。
仕事終わり、横並びで歩く手を、コートのポケットの中で握る遠回りの帰り道。

今年はどんな温もりに触れられるだろう。
そして、自分はどんな温もりを人に提供できるだろう。

地球が作る冬の温度を感じながら、人の温度もまた適切に感じよう。
北風のように刺しつける人の温度は防ぎながら、身体の芯がじわっと温まる、信頼できる温度を、適切に。

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