恋に、落ちる。

「恋に落ちる」と最初に表現した人は誰なのだろう。
少なくともその人にとって、恋とは、落ちるものだったのだろう。

落ちる恋なんて、幸せじゃないんだろうな。
でも、それでも落ちてしまうくらい周りが見えなくなるなんて、とても幸せなんだろうな。

例えば、落ちた恋は。
川沿いをただ歩く時間が、特別なのだろう。
コンビニで買うアイスが、特別な味に感じられるのだろう。
昨日も見た三日月が、特別に見えるのだろう。

例えば、落ちた恋は。
会うたびに苦しくて、帰る時はもっと苦しくて。
帰り道、また会えるのか不安になって。
もしかしたら明日には嫌われているかもしれないなんて思って。

「恋に落ちる」と言ったその人は、幸せだっただろうか。
どうか、その恋が過去になってからも幸せでありますように。

いつかきっと、その恋がなかったような顔をして、でもその恋を忘れられる日なんて絶対に来なくて。
でも、当たり前で、決して当たり前ではない新しい幸せを掴むのだろう。

どうか今のあなたが、幸せでありますように。

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