後輩に「ダセェな!」と言われた話

自慢じゃないが、禁煙に2度成功している。
今は、3度目はいつにしよう、とタイミングを見計らっているところである。

職場に1歳下と3歳下の後輩がいる。たまに3人で食事をする機会がある。ちなみに3人とも喫煙者である。

少し前に食事をした際に、初めて煙草を吸ったのはいつか?という話題になった。各々話していき、もちろん私もエピソードを披露することに。

私が初めて煙草を吸ったのは、成人式の日である。今振り返れば、吸ったというよりふかしたような格好だが、そこは目を瞑ろう。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTというバンドが高校生の頃から好きだった。彼らはまさに“大人の男”というような4人で、スーツを衣装に煙草を咥えながら演奏する姿がとてつもなく魅力的に見えた。
高校生時分、同級生に煙草を吸う輩は珍しくなかったが、私にはその姿はカッコ悪く見えた(今でも高校生の喫煙はカッコ悪いと思っている。煙草なんか吸わなくても楽しいことはいっぱいあるんだから、背伸びせずに今しか出来ないことをやったらいいのに)。
そういった背景から「自分は絶対にスーツが似合うような大人になってから煙草を吸うんだ!」と意気込んでいたので、社会通念上の大人と認められる(と思っていた)成人式の日に、初めて煙草を咥えたわけである。

上記のエピソードを話したら、同席していた後輩2人から「ダセェな!」と言われた。酒が入っているとはいえ、職場の先輩に面と向かってダセェと言い放つのは一般的に由々しき事態である。
このエピソード自体がダサいかどうかはさておき、一応は「職場の先輩」である私が後輩に「ダセェ」と言われた。多分私が相当な気難しい人間だったら怒っていただろう(もっとも、私がその類の気難しい人間ではないと思ってくれているからダセェと言い放ったのだろうが)。

後輩からダセェと言われ、私は嬉しかった。いや、勘違いしないでほしい。マゾヒスト的なそれではない、はずだ。

私は常々、人から叱咤されなくなったら人間として終わりだと思っている。そして同時に、歳を重ねるということは、人から叱咤されなくなることだとも思っている。
人間はどうしたって利己的で、弱くて、逃げ癖があって、見栄を張る。自分の間違いや至らなさが怖くて、高圧的な態度を取ったり、渋い顔をして弱みを指摘されないように予防線を張る。
だから、自分で自分の弱みに意図的に向き合わなきゃいけないし、それでも足りないから、人から叱咤される人間で在らなければいけない。

だから、冗談でも面と向かってダセェと言ってくれる人を大切にしたい。こんなことを思ってるなんて知られたら面倒くさがられるから、彼らにはそれを言えないけど。笑
いつまでも人に気付かされる人間であってはいけない。誰かに迷惑をかける前に、自分を律することが出来る人間で在らなければいけない。それが難しいからこそ、彼らのような人が尊いのだ。

いつもありがとう。
そして、そんな人が周りにいてくれるのを当たり前だと思うなよ、俺。

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