絶望に蓋をして

高校生の頃、死のうと思ったことがある。
何が原因で、とか、そんなものではなく、ただ漠然と。
ただ、何かに焦っていたり不安だったりしていたことは覚えている。

包丁を手首に当てた。当てた、だけだった。
歩道橋から交通量の多い車道を見下ろした。見下ろした、だけだった。

あぁ、そうか、死ぬ勇気もないんだ。

そう諦めてから、逃げ道が全て絶たれた。

そこからの方がよっぽど辛かった。いや、今も辛い。
眠りにつけない日も、起き上がれない日も、それに向き合わなくてはいけない。
自ら逃げる事はできない。

乱暴に要約すれば「死にたいけど死ねない」という話だから、とても人に言える話ではない。自分も人からそんなことを言われたら、ふざけるなと怒りを覚えるかもしれない。
ただ自分の中のモヤモヤとして、記録に残しておきたかったがためにこの場を使ったことを許してほしい。

これからも、絶望に蓋をして、そこから漏れ出る異臭に顔を顰めながら気付かないふりをしていく。
その中に少しだけ香る幸福感をしがんで、味がしなくなるまで大切にしていきたい。

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