12月に出会った人々
12月1日(木) Aさん(38歳 男性)
「大変ですよねー、ゴルフ。でもこれも仕事ですもんね。初めてですけど、頑張ります。」
仕事で得意先とゴルフ。THE 営業マン、THE サラリーマンという出来事。私はゴルフがあまり好きではない。もしかしたらゴルフ自体が好きじゃないのではなく、気を遣ってゴルフをする場面にしか出会していないからそう思うのかもしれない。
この日、冒頭の会話を交わした彼は、得意先の若手。若手といっても私より10歳ほど年上だったが。この日がコースデビューだったらしい。彼は芝の上を終始焦りながら走っていた。
好きではないことを、好きではないなりに一生懸命やる姿に感服した。私もこういう人間で在りたい。
12月12日(日) Bさん(23歳 女性)
「お疲れさまです。あ、ウーロン茶で。」
会議、ホテルで会食、スナックで二次会、翌日はゴルフ。飲み会とゴルフをする口実作りのために会議をする。大人はズルい。でもそうやって経済は回っている。
私が身を置く業界は男社会で、関わる人は大抵40〜50代の男性。その中で、異彩を放つ若い女性がいた。
彼女の周りには会食から二次会も翌日のゴルフの時も、ずっとオジサンがいた。
それでも嫌な顔をせず、何か理由をつけて途中で帰るでもなく、愛想を振り撒いていた。
彼女が本当は無理をしているのか、実はチヤホヤされて満更でもないのか、掘り下げたかったが叶わなかった。
2日間という時間を過ごした私と彼女の会話は冒頭のものだけだったので。
12月19日(日) Cさん(年齢不詳 女性)
「久しぶりー!どれくらいぶりだっけー?」
彼女は私と対峙するなりそう言った。彼女とは初対面だった。
その適当さと、ある種のサービス精神に惹かれた。人とコミュニケーションを図るのに正しさなんて必要ないのかもしれない。
私は彼女の年齢も本名も知らない。27歳と言われたが嘘だろうし、名乗られた名前だって本名ではないだろう。彼女も私の本名も年齢も知らない。
それくらいの距離感の相手の方が、気が楽で色々と話せるものである。
もう会うことはないかもしれないが、次に会う時はこちらから「はじめまして」と言ってみようか。