活動再開に思うこと
ひいらぎ が不定期で活動再開すると聞いた。
懐かしくて嬉しくて、楽しい気持ちで曲を聴いたのに、気がつくと涙が溢れてた。
***
今から20年くらい昔、私が高校生のとき、札幌にはひいらぎという路上ミュージシャンがいた。
私が知ったときはお二人のグループで、たまたま行った近くの大学の学園祭で知ってすぐにファンになった。
高校生だった私は夜遅くに狸小路で開催される路上ライブに行くことは許されず、
毎日毎日MDに入れた曲を聴いて、インストアライブの出演情報を入手しては友達と行き、プリクラの落書きをひいらぎの曲名や歌詞で埋め、音源のない曲を必死に記憶して反芻しながら帰った。
一緒に撮ってもらった写真、one wayのカードの裏に書いてもらったサイン(今思うと失礼だったな…)を、プリ帳にしていた無印良品の小さなクリアファイルに入れて持ち歩いたり、真似して髪を短くしてみたりして。(アフロにはできなかった。)
***
私は札幌が嫌いだった。
引越した町の雰囲気にいまいち馴染めず、もやもやした思いを抱えて過ごした。高校生になって友達ができてもその閉塞感は変わらなくて、何かしたくて、何かできそうなのに何もすることがなくて、早く札幌を出たくてたまらなかった。
***
久しぶりにひいらぎの曲を聴いて、あのやりきれない日々の記憶が戻ってきた。
白っぽい空と冷たく澄んだ空気。
結露で何も見えないバスの車窓と、暖房や排ガスの匂い。
舞い上がる雪。
顔を沈めたマフラーの水滴の冷たさ。
ペンギン歩きで渡る横断歩道。
JRの独特の匂い。
全てがうまくいくような気持ちになる、雪の快晴。
べちゃべちゃの雪が靴にしみてくるけど、春の風にわくわくする気持ち。
体感2週間の夏が過ぎ、なんだかんだ秋の空気に気持ちが落ち着くこと。
札幌での暮らしがぜーーーーんぶひいらぎの曲に乗って帰ってきた。
あの時の私の心にひいらぎの曲が沁みて、
沁みて沁みて沁み込んで、ひたひたになっていた。そして涙になった。
***
当時のひいらぎは解散と再結成を繰り返していて、私もそれに一喜一憂したファンの1人だけど
きっとあの頃のひいらぎのお二人もぐらぐらしてたのかな、なんて勝手に想像してしまう。
だからこそぐらぐらした気持ちに真っ直ぐ沁み込んできたのかなぁなんて。
あれから20年経って、今の自分にとってのひいらぎはどんな存在かな。
みんなは知らない、ぐらぐらした時代を見ず知らずの人達と共に過ごした場所。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?