札幌の高齢・障がい者とコロナの影響と対策についてアンケートをしました
行政でない私たちが、障がい者とコロナの状況について声をあげたい。まずは事業所から…
皆さんにご報告の途中ですが、去年秋に、私が代表を務めるNPO法人札幌いちご会と、障がい者介助について考える有志で構成されている札幌介助研究会で、アンケートを行いました。
正式名称は「札幌市内の高齢・障がい者訪問介護における新型コロナウィルスの影響と対策についての調査・アンケート」という長い名前です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、難病患者や障がい者、高齢者
は感染により重篤化するリスクが高いですが、生活にヘルパーは欠かせません。事業所の規模やサービス内容にかかわらず、事業所間での連携や考え方の共有などが必要になると考え、現状を明らかにして北海道、全国へ届けることを目的として行いました。アンケートに協力いただいた事業所のみなさまに心よりお礼申し上げます。
アンケート本文と考察をPDF公開
札幌市以外の人もぜひお読みください。
アンケートについて調査の設計
・調査対象 札幌市内の高齢・障がい者訪問介護事業者
・標本数 500事業所
・回答事業所数 68事業所(回収率13.6%)
・抽出方法 無作為抽出
・調査方法 郵送、ファクス、メール、インターネットフォーム
・調査期間 2020年9月1日~10月20日
質問本文と、私たちとしての考察をお読みいただけます。
▶アンケート本文のPDF
▶アンケート結果についての考察
日々感じていることを正直に書いてください。無口でいては、何もはじまりません。
障がい者・高齢者当事者、ヘルパーの皆さんは、ぜひ日々感じていることを、正直に書いてください。その言葉が行政や政治に届くのです。無口でいては、何も始まりません。コロナ予防や治療について皆さんがどう考え、どのような行動をとっているのか皆さんの声をぜひお聞かせください。
「鳥インフルエンザを横目にみながら」小山内美智子(NPO法人札幌いちご会代表)
重度障がい者がコロナにかかった時、どうすればよいのか私には思いつかなかった。誰に対しても絶対にケアに来てとは言えないが、障がい者にも生き、治療を受ける権利がある。ケアの受け方・仕方を悩んでいる人たちと看護師さんが連携し、安心してケアと治療を行うために、重度障がい者がコロナになった時を想定したマニュアルを作り、トリアージ差別が起きないようにしたい。 また重度障がい者が病院で正しいケアを受けられない理由の一つは、医療教育に障がい者のケアが含まれていないからだ。医学だけでなく障がい者のケアも一緒に学ぶべきだ。私の経験では、コロナ以前から医療関係者が障がい者の意見を聞かないことは問題だ。 鳥インフルエンザで鶏たちが土に埋められるニュースを見るにつけ、今の私たちの生活からは考えられないことが起きるかもしれないと恐ろしくなる。障害を持ちながら感染症になった人たちが、心地よくケアを受けられる世界はあるのか。全てこれからの未来が決める。
「一人のヘルパーとして考えたこと」角田紘世 (NPO法人札幌いちご会職員)
人によってコロナ対策に関する考えが違うことを、私もケアに派遣されると感じます。どこまで利用者に対策を求めて良いのか、また自分の対策が十分であるのか、ヘルパーとして決めることは難しく、利用者側の意見を聞くことも必要です。 以前はケア中に防護服を着て感染しないよう気を付ければ良いと思っていました。しかし最近耳にする話では、同居家族がいる場合はホテルに泊まるなどの対策があるとのこと、入院した場合は利用者と一緒に軟禁状態になる可能性もあるとのことです。そのような話を聞くと、困っている利用者を助けたいと思っても躊躇する気持ちも出てくると思います。手当が出たら良いのか、どんな条件だったらできるのか、など答えは見つかりません。
「困りごとを、社会を変えるテコに」萩谷 海 (ヘルパーステーションいちご ヘルパー)
アンケート調査中に、当事者が自立生活のために運営する事業所とも電話などでお話をする機会があり、人員不足や、メールアドレスがない、機器を使えないなどデジタル格差を感じた。インフラ整備・助成金応募等をする余裕もなく、アンケートに答える時間もない。障がい・高齢者、ヘルパー、事業所の資金や社会的資源の不足は深刻だ。若いヘルパーでも、スマホで得られる以外の情報検索の仕方を知らず、その声を行政にあげたり、オンライン会議を行うなどのスキルや行動、支援につながらない。私たち全員に社会を変えていく知恵や経験はあるので、その声を拾えるような仕組みづくり(そして騒ぎ続けること)が、すべての底上げになるだろう。これは家庭内などの見えないところで、ケアをする・される人々にも当てはまることだ。ひとまず当事者・ヘルパー・事業所への教育やデジタル化への支援や助成を強く求める。
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