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障がい者が医療関係者を教育する?

赤ちゃん言葉は失礼です。

久しぶりに病院に行って、私の曲がった背骨が、まっすぐになるコルセットを作りました。着けると、座っているのがすごく楽になり、これからの移動などがしやすくなるのではないかと期待している。実験段階なので、まだ身体にきちんと合う良いものかどうかという結論は出せない。

コルセットを着け、レントゲンを撮ろうとしたとき、技師が私に「動かないでね。いい子ちゃんだから。」と言った。その言葉に耳を疑った。このようなことは若い時から繰り返し経験しているので、いまさら驚かなかったが、それでもやはり、リハビリ関係で障がい者のレントゲン撮影をし慣れた人がこんな口調なら、人権侵害ではないだろうか。

私は、病院のお客さんである。ものすごい敬語を使わなくても良いが、普通に話してほしい。周りの看護師さん達も「こっち向いてね。いいかい?」と、やはり子どもに話しかけるような口調で言っていた。

ああ、私は43年間障がい者の生きる権利を求めてきて運動してきたが、この言葉を聞き、どうしたらいいのだろうかと悩んだ。


世話になる医者にも、怒れない。誰に怒っていいのかわからなくなってしまった。(よう、小山内!43年間なにをやってきたんだ!こんな口調で話す医療関係者がいるなんて、お前の運動は甘かったんでないか?)と自分を責めるしかなかった。

私は、いろんなところでレントゲンを撮っているが、どうもレントゲン技師には子どもに話しかけるような口調を使う人が多い。

しかし、北海道大学病院のレントゲン技師には素晴らしい人がいる。私の体に合わせてクッションをたくさん置き、どのようにしたら正確に骨の写真を撮れるかを研究している。『小山内さん、いいですか?一番リラックスした格好でいてくださいね。あまり緊張しないでくださいね。ちょうどよいところで、私がスイッチを押しますから。「はい」とはいいません。その方が楽ですよね?』と、おっしゃってくれた。このレントゲン技師は脳性まひの特徴をわかっている。涙が出てくるほど嬉しかった。

こんな些細なことで泣けてくるなんて、皆さんはわかりますか?どれだけ障がい者が普段から、さりげなく幼児言葉で話しかけられるのかを想像できますか?

20210317_コルセット

日本社会ではノーマライゼーションという言葉を掲げ、国が地方自治体などで障がい者政策をたくさん立ち上げているが、肝心な医療関係者が障がい者のことを全く理解せず、67歳の私に向かって幼児言葉で平気で使う。それこそハラスメントや差別だ。

北海道大学の病院にいたあのレントゲン技師が、技師の養成課程で、障がい者について教えていかなければならないだろう。
そして、さらに障がい者たちは、こういう経験をたくさんしているので、医療の現場でどのようなハラスメントや差別を受けているのかを、話すべきだろう。


「障がい者にできる仕事はない」と、よく言われるが、このような経験を訴えていくのが、私たち障がい者の仕事だと思う。


これは、文部科学省に訴えていかなければいかない。国会議員たちもこのような現状について、国会で話し合うべきだ。多くの障がい者たちは、このような経験をしても、腹のなかで怒っても、顔では笑っているだろう。言っても理解されなかったり、障がい者は劣っているものと思われているからだ。

若い障がい者たちには、ヘルパーが24時間つく制度ができたので、もっと大勢の人が全国の自治体で議員となり、自分の経験を語ってほしい。
障がい者について話題になるとき、ほとんどの議員(学識経験者、専門家などなど)は、障がい者はないので、その人が経験したことの外側のことを、誰かを代弁しながら話している。ここで障がい者自身が自分の言葉で心をこめて話さなければ社会は変わらない。

これは障がい者問題だけでなく、高齢者にもつきつけられている問題だと思う。老人が施設職員などに子ども扱いされている。

すべての人間が、自分の意見を言わないと、差別をされ、自分の心を殺して生きていかなければいけない。

この歴史がまだまだ続いていくのか。悲しさだけが残る。

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