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父親になった息子たちにお茶畑助産院を紹介する未来を夢見て

私は10年間、夫の駐在でタイに住んでいます。長男は13歳、次男は8歳になりました。どちらも助産師の高橋さんにお世話になり、静岡県の実家で自宅出産をしました。
(タイ・バンコク 大杉愛子)


母として育つのを助けてくれた助産師さん

初めての妊娠がわかった時は札幌にいましたが、つわりと慣れない雪が怖くて里帰り出産を決めました。自分が生まれた産院も近所の産婦人科もお産を扱わなくなっており、総合病院は健診2時間待ちと聞いて悩みました。ふと、友人が助産院で出産したという話を思い出し、市内の助産院を調べると、『お茶畑助産院』に出会えました。

良い香りが漂うお茶畑の中、初めて相談に伺った高橋さんは優しい朗らかなお姉さんで、緊張していた気持ちが解けていきました。
開院されたばかりで私が3人目の産婦。高橋さんご自身も赤ちゃんがいましたが、その長女さんの成長も含めてモデルになってくれて、それ以後ずっと私が母として育つのを助けていただきました。

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妊娠・出産の嬉しかった思い出

妊娠・出産に「私の」助産師さんがいてくれて嬉しかった思い出をまとめます。

〈長男妊娠中〉
◯『安心マタニティブック(日記)』と産後2週間分の育児日記プリントをいただいたこと。細かく記入したので子供の病気の時に役立ち、後に読み返して幸せな気持ちにもなれます。
◯健診は自宅に来てくれて待ち時間なし。心配ごともゆっくり相談できました。病院検診も一緒に行ってもらえて心強かったです。

〈長男出産〉
◯分娩時間は26時間。その間、一人になることはありませんでした。高橋さんとお手伝いの助産師さんが励まし続けてくれて、何度も「もうやだ終わって〜」と半泣きでしたが、出産後には「楽しかった!」と思えたのが驚きでした。
◯陣痛が進むよう家の中を歩いたり、お風呂に入ったり。疲れて眠くなった時も「起きたらまたグッと進むから大丈夫」と言ってもらえて安心しました。
◯札幌から夫が到着。助産師さんたちが私を見てくれているので、夫も実家の家族も安心して休みながら、早朝の産声を皆で聞けたのが幸せでした

〈長男産後〉
◯生まれてすぐ、臍の緒が繋がっている息子を横になったまま抱かせてもらい、初めての授乳は心底感動しました。夫が臍の緒を切りました。
◯妊娠中の骨盤ベルトと体操のおかげで、産後初めてのシャワーでほぼ体型が戻っていたのに驚きました。体のケアを十分にしてもらえたことが、自分の体の変化に敏感になり、お腹の赤ちゃんに思いを向けられるという自然な流れを作ってくれました。
◯出産から1週間毎日来てくださり、授乳・おむつ替え・沐浴・スリング抱っこの仕方など何でも教えてもらいました。母も「忘れてるし男の子は初めてだから教えてもらえて嬉しい!」と楽しんで育児を助けてくれました。高橋さんが母乳と布おむつを勧めてくれたことも母は喜びました。母の時代は廃れていく頃で、昔ながらのやり方を望むのは戦いだったそうです。家族総出で布おむつ洗いや抱っこを手伝ってもらえたのも、自宅出産のおかげです。
◯親戚や知人が「昔はこうやって家にお産婆さんが来て、みんなで赤ちゃんを迎えるのが当たり前だったね」と懐かしそうに話してくれて、自分もそれを体験できたことが有難く感じました。

〈次男妊娠中〉
◯6歳離れて、バンコクで妊娠発覚。近所の病院で産むつもりでしたが、つわりがひどい!食事が進まず、夫は平日単身赴任で私は長男の世話も満足にできず帰国。迷わず高橋さんに連絡しました。
◯今回は高橋さんの三女さんが一緒に健診に来てくれたり、助産師さんたちのグループLOVE BIRTHの小学校での講義に妊婦役で参加させていただいたり、しんどいながらも楽しい妊娠期間でした。

〈次男出産〉
◯こちらは17時間。妊娠中ずっと吐き気と貧血が続いたので、体力が落ちて出産時のことをあまり覚えていません。お腹が空いて、母におにぎりを作ってもらって食べた気がします。長男の時より痛くて苦しいと感じましたが、やはり助産師さんたちの冷静で優しい励ましと的確なケアのおかげで「楽しかった!」と思えました。
◯長男がへその緒を切りました。兄になった長男が大きく見えて、とても感動しました。

〈次男産後〉
◯痛みで固まった体を高橋さんにマッサージしてもらって気持ちいい〜と日記に書いています。
◯忘れていた新生児育てと上の子の心のケアについて不安なことなど、色々相談させてもらって安心できました。

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その後、タイでの2人育児

タイでの2人育児は、夫や周りの友人たちに助けてもらいながらも、つらいと思うことが何度もありました。夫のいない平日に自分が高熱を出し、夜中に泣きながら次男の世話をしたこと。長男の反抗期と次男のイヤイヤ期が重なり怒ってばかりで、部屋も心もぐちゃぐちゃの日々も。

それでも、助産師さんに支えられて妊娠・出産を満足して味わい、安心してゆっくり母になる成長の機会を与えてもらった心の基盤がとても強かったと思います。

息子たちはそれぞれ激しい幼児期やギャングエイジを過ぎ、今は穏やかな思春期と元気すぎる低学年です。赤ちゃん期とは違った母業への課題は次々来ますが、子供たちが心から愛しく、困難があっても子育てに真剣に挑戦し全うしたいと感じます。そして、いつか父親になった息子たちにお茶畑助産院を紹介する未来を夢見ています。


妊娠・出産・育児を共に楽しんでくれた母

自宅出産の実現を支えてくれた母は、2年前に天国へ旅立ちました。私が二度も自宅出産をして妊娠・出産・育児を堪能できたことを誰より喜び、共に楽しんでくれた母でした。

次男の産後は年1回しか帰国できなかったので、子供たちの赤ちゃん期に母に甘え助けられ、同時に母に喜んでもらえたのも、マイ助産師さんと出会えたおかげでいただいた宝物の思い出です。


(紹介者:高橋美穂さん)

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