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子会社だからできる会社のガバナンス強化ポイント
企業ガバナンス(Corporate Governance)は、企業を透明で健全に運営するための仕組みですが、その背景には 過去の大規模な不祥事や経済危機 があります。ガバナンス強化は、大企業だけでなく、私たちのような 小規模な子会社にとっても重要な課題 です。
今回は、ガバナンスがなぜ重要なのか、その歴史を振り返りながら、子会社ならではの具体的な強化ポイントについて考えてみましょう。
私が突然企業ガバナンスについて考えた理由
私は 組織のボスとしての役割を任されています。正直、以前は 企業ガバナンスにそれほど重きを置いていませんでした。自分も社員も 「不正を起こさないことが当たり前」 だと思っていたからです。
しかし 先月、親会社による内部監査を受けたことで考え方が変わりました。内部監査の担当者はこう言います。 「もしこの組織で不正や法を犯す行為が起きた場合、責任を問われるのは私たちだ」 と。そこで彼らは、ありとあらゆる面を追求し、改善を求めてきました。
最初はその徹底ぶりに正直恐れも感じました。 何もかも手を付けなければならず、場当たり的な対処になってしまうのではないか と。しかし、そこで私は改めて 「企業ガバナンスの本質とは何か?」 を考え、大切なことから着手しようと決意しました。
① 企業ガバナンスが求められるようになった歴史
企業ガバナンスが注目されるようになったきっかけの一つは、 1929年のアメリカ大恐慌 です。この時代、企業の不正会計や株主軽視の経営が多発し、株式市場の崩壊を招きました。その結果、 証券取引法 が整備され、ガバナンスの概念が生まれました。
21世紀に入ると、 エンロン事件(2001年)や ワールドコム事件 などの不正が相次ぎ、さらに企業ガバナンス強化の必要性が叫ばれました。日本では J-SOX(内部統制報告制度) が導入され、透明な経営が強く求められています。
また、富山和彦氏が提唱する企業ガバナンスの重要性についての解説動画も非常に参考になります。現代の企業経営者が持つべき視点が具体的に語られていますので、一度ご覧いただくことをお勧めします。
② 企業不正が発覚したとき、何が起きるのか?
企業不正が明るみに出ると、 経営危機や社会的信用の喪失 につながります。具体的な事例を3つ紹介します。
1. エンロン事件(2001年/アメリカ)
エネルギー業界の大手 エンロン社 は、粉飾決算を通じて業績を偽装していました。不正発覚後、同社は破綻し、社員2万人が職を失う結果に。これにより 会計基準の見直し が進められました。
2. オリンパス事件(2011年/日本)
日本の大手光学機器メーカー オリンパス は、巨額の損失隠しを長年行っていました。内部告発によって発覚し、 株価が急落、信用が失墜。経営陣が刷新される事態となりました。
3. カルロス・ゴーン事件(2018年/日本)
日産自動車の前会長ゴーン氏 は、自身の報酬隠蔽や会社資金の私的流用が発覚。これにより、日産は 世界的なブランドイメージが悪化。企業統治の改善が求められました。
これらの事例が示すように、 不正がもたらす影響は計り知れません。最悪の場合、企業の存続すら危ぶまれます。続いて、不正が起こりやすい環境について考えてみましょう。
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② 企業不正が起こりうる環境の2つの要素
企業における不正は、特定の環境が整ってしまうと 起こりやすくなる ものです。ここでは主な2つの要素を紹介します。
権力の集中と監視の欠如
経営層に権力が集中し、誰もその行動を監視していない場合、 意思決定が個人的な裁量に偏る リスクがあります。これが不正の温床となります。不明瞭な支出ができる環境
社内での 支出の承認プロセスが曖昧 であると、架空経費や個人的な支出が容易に行われてしまいます。これを防ぐ仕組みがないと、組織全体が不正を容認する体質に陥る可能性があります。
③ 企業の不正運営を防止する3つの有効な手法
不正を防止するためには、 明確でシンプルなルール を導入することが有効です。特に、以下の3つが効果的です。
承認プロセスの透明化
全ての支出や取引には、複数の人が関与する承認プロセスを設けることで、不正の抑止力となります。内部監査の強化
定期的な監査を実施し、リスクの早期発見 を目指します。特に支出関連の監査は厳格に行うべきです。ホットラインの設置
内部通報制度を整備し、不正が起きた際に 匿名で通報できる仕組み を確保します。
④ 当社のガバナンス強化ポイント
当社のガバナンス強化の取り組みでは、特に 経営層への監視を強化する ことに注力しています。
経営層の意思決定に対しても、 透明性を確保する仕組み を取り入れ、不透明な支出や取引が勝手に行われないようにしています。具体的な対策は以下の通りです。
支出の承認フローを再構築
全ての支出に対し、 複数の承認者を設ける フローを導入します。これにより、経営層の個人的な裁量を排除し、透明性を向上させます。取引の監査体制の強化
定期的な取引内容のレビューを行い、 不透明な契約が存在しないかを確認 します。ホットラインを通じた内部通報の推奨
全社員が安心して通報できる 外部の通報窓口を設置 し、不正発見の機会を増やしています。
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⑤ まとめ
企業不正が起こる背景には、 経営層の不正行為や、それを隠す組織体質 が根本にあります。
しかし、不正を完全になくすことは難しいからこそ、 不正が起きにくい環境を整備すること が重要です。
特に 若い世代が将来の経営層 になったとき、不正に手を染めないよう 健全なガバナンス文化 を根付かせることが大切です。
「透明で信頼される企業運営」を目指し、これからもガバナンス強化に取り組んでいきましょう。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。今回は、自分が企業ガバナンスのことを深掘りするとは、と思いながら、新たな気づきを得るに至りました。