【殺意の道程】にみえるバカリズムの才能
ネットフリックスで全7話、一気観です。
笑えます。「お腹を抱える」ではなく、「クスッと微笑む」感じ。
脚本は現代日本の「鬼才」、バカリズム。自ら井浦新とW主演もしています。もともとはWOWOWでつくったドラマだけに、俳優陣も、ロケも、それなりにお金をかけてるなぁ……。
自殺した父親の復讐を企むサスペンスドラマ。のはずなのに・・、殺人計画をファミレスで始めてしまったり、まずはプロジェクト名を決めたりと、ぺらぺらそれを部外者に話したり、全く緊迫感に欠ける殺人者たち(笑)。
あげくの果てにミステリー好きのキャバ嬢に知恵をもらったり、占い好きなキャバ嬢に占ってもらったりと、「想定外」の展開にひきずりこまれます。
特筆すべきは、とりとめのない日常の会話のおかしみです。
「非日常」の中にとりとめもない「日常性」が入り込んでくることの、おかしさ、面白さを見事に表現できるのが、バカリズムの才能だと思います。
同じくネットフリックスでこの正月、観た「侵入者たちの晩餐」も女性盗賊3人組の会話がお見事だったし、昨年のヒットドラマ「ブラッシュアップライフ」でも小学生の頃からの仲良し女性3人組の会話が秀逸でした。
日常生活の中のおかしみという点で、バカリズムの生み出す世界観は、「落語」の世界観につながるのかもしれません。落語は江戸の町人たちの日常のやりとりの中に諧謔性を見いだすのが真骨頂ですから。(いまテレビでやっている「バカせまい史」もそれに似たテイストを感じます)
ラストは、実は自殺した父親は他殺の偽装だった、というオチ。ハッピーエンドでよかった。