見出し画像

薄ぐもりの心

月がきれいだと思っていた。月のまわりにうっすら雲がかかっていて、雲がかかっていない部分との境目に光が透けて虹色に見える。夜でも虹は見えるのだ。吸いこめばキンモクセイの匂いで、ようやく秋が来ている。

最近、常に焦っている。胃の下あたりがずっと重い。書かなくちゃ、のまえに読まなくちゃ、ちゃんとした生活をしなくちゃ、仕事もまあまあ頑張らなくちゃ。本当は全部やめてやりたいのだ。何かに追い詰められているように感じ、他人と自分を比較して、どのような思考を辿ったとしても最終的に行きつくのは自己否定と決まっている。決まっているのだから、考えることに意味はない。意味はないのに、やめられない。そして時間だけが過ぎる。ああ、また何もできなかった、と落ち込む。無限ループである。無限を見たことはないけれど最近は無限を感じるよ。このままこの人生、生活、ずっと、死ぬまで、いや死んでも、よくならないんじゃないかって。どうせこんなの誰も見てない、読まれない、なのに書くのをすっぱりやめることもできない。日々に流されまくっているくせに、割り切ろうとすると最後の抗いが心に去来して、私にペンを握らせる。中途半端はつらい。つらいけれどどうしようもないので、意識としては本心を、嘘はなしで、気の向いたときに、綴っていくことにする。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?