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『冒険しよ❗』
あったけえー!
超気持ちーよ!
太陽光はやっぱり最高だよ。
皮膚に刺さるじわじわっとした日射しの感触がたまらねーよ!
北海道の乾いた春の空気がオレみたいな甲羅属にはしっくり来るんだよ。
ズイズイ進む。
デケデケと行く。
ワシャワシャと掻き分ける。
オレは植物が好きだ。
食べるのもそうだけど、植物の生き方そのものが。
平和主義が一番だから。
オレは、ドジでノロマな亀かもしれないけれど、タンポポを連れて旅をするくらいの優しさは持ち合わせている。
タンポポが言った。
私たちは地下に根っこを張り巡らせて生きてるの。私たちは根っこから、花を増やしているの。
タンポポが言った。
誰だって一つの場所に留まりたくは無いはずだから。
タンポポの花に言われた。
私を遠くへ連れて行って。
オレはドジでノロマな亀だけど、タンポポみたいなベッピンさんにそう言われちゃあ張り切るよ。
オレは好きなだけタンポポを乗せて歩いてやった。
ズイズイ進んだ。
デケデケと行った。
ワシャワシャと掻き分けた。
やがて綿毛になったタンポポは、風に吹かれて五月の青空へ、高々と飛んで行った。
タンポポは言っていた。
遠くへ行こう。
誰だって一つの場所に留まりたくは無いはずだから。
写真 小幡マキ 文 大崎航