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イベントマーケティングにおける「戦略的飲み会(ネットワーキング)」開催のすすめ
こんにちは。KEEN株式会社 Founder&CEOの小倉です。全SNSのIDを「osake1st(お酒ファースト)」と設定しているお酒好きです。
イベントマーケティングAdvent Calendar 2024の5日目を担当として、今回は、イベントマーケティングの文脈とは切り離せない「戦略的飲み会」こと「ネットワーキングの場」について書き記します。
本記事では、戦略的飲み会の設計と実践について、当社での経験や、名著『最高の集い方』から得たインサイトを交えながらご紹介します。(最高の集い方は、多くのイベントマーケターやコミュニティマネージャーが大好きな一冊のはず!)
当社は「コミュニティマーケティング」を基軸にしコミュニティのデータ分析サービス「KEEN Manager」の開発と、コミュニティOps支援サービスを提供しています。
このアプローチでは、顧客やパートナーとの深いつながりを構築し、ビジネスの成長に結びつけることを目指しています。その中で、イベントマーケティングは重要な役割を果たします。
はじめに:ランチェスター弱者の戦略
イベントマーケティング、特に顧客エンゲージメントの向上やアポイントメント獲得を目的にする際は、大規模なカンファレンスやセミナーの形式に加え、小規模で親密な「飲み会」形式でも十分に力を発揮します。参加者同士がリラックスしながら交流し、共通の目的や価値観を育む絶好の場です。
特に当社のように、アーリー期のスタートアップは、ヒトモノカネのリソースに限界があります。1円を切り詰めて成果を出すために知恵を絞る日々。
そんな中で、社内では「戦略的飲み会」と施策化し、大小さまざまな飲み会を年間50回開催してきました。ランチェスター弱者の戦略に擬えて記載します。
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一点集中主義:少人数の濃いコミュニケーション
・飲み会の参加者を広く募るのではなく、戦略的に少人数(多くても15名程度)に絞り、深い関係を築ける相手に集中する。
・目的に応じてメンバーを選定する(例えば、次のプロジェクトで協力を得たい人や、キーパーソンとなる可能性がある人)。
・大規模な飲み会で埋もれるより、密な対話ができる場を優先する。
差別化と独自性:特別な体験を提供する
・強者(大手企業)が開催する接待形式ではなく、「家みたいにリラックスできる」「また来たい」と思っていただくために、オフィスをコミュニティスペースとしてレイアウトし、さらにいつでも飲み会を開催できるよう工夫しました。
・オフィスで会議をした後に、ビールを缶で提供するのではなく、「HUBの1リットルタワービール形式」で提供しています。
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機動性を活かす:機会を逃さない迅速な開催
・チャンスが訪れたら即決で飲み会を設定。忙しい人でも参加しやすい時間や場所に柔軟に対応。
・「今月空いてますか?」と軽いお誘いで即日開催できるようにしています。
強者との直接対決を避ける:隙間を狙う
・強者(資金や派手さで勝負できる人々)が参加しにくい場所やコンセプトを選ぶ。例えば、敢えてアットホームな空間のオフィスでBBQや日本酒会を開催するなど。
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口コミとローカル戦略:飲み会後のフォローアップ
・参加者に「また行きたい」「誰かを誘いたい」と思ってもらえるよう、飲み会後に一言メッセージを送る。
・良い雰囲気や写真が次回の参加者や口コミを通じてSNSに投稿いただく仕組みを作る。
・イベント後も継続的に情報交換ができるように、オンラインコミュニティにご案内する。(弊社ではKEEN Managerにデータを入れて、過去リアル接点のあった方々の参加情報を管理するようにしています。)
コミュニティマーケティングにおける飲み会の価値
コミュニティマーケティングにおいても、セミナーの後に交流会を用意しています。この交流会が実はとても重要で、参加者同士の意見を交換の場になり情報の流通を加速させます。また、学びをすぐに話す(アウトプット)することで、イベントテーマに対する当事者意識の向上、場へのコミットメントが狙えます。
本音フィードバックの収集
参加者がリラックスしている状態では、より率直な意見や本音を聞き出せる可能性が高まります。当社でも、新製品開発時に戦略的飲み会を活用し、初期ユーザーのリアルな声を取り入れて製品改善を行いました。
コミュニティの拡大
飲み会は、既存のメンバーだけでなく、新しい人材や潜在顧客を迎え入れる場としても機能します。この場で新たなつながりが生まれることで、コミュニティの輪が広がります。また、飲み会の場が、「次の企画はこれにしよう」というアイディア出しの場になります。
戦略的飲み会を成功させる設計と実践
目的を明確に設定する
飲み会を単なる「楽しい場」に終わらせないためには、明確な目的を設定することが重要です。
・新規顧客との信頼関係を築く
・製品やサービスに対するフィードバックを得る
・業界関係者とのネットワークを拡大する 等
招待者を戦略的に選ぶ
飲み会の成功は招待者の選定にかかっています。主催者は自分の理想とする場にどこまで真剣にコミットしているか、そして大きな目標のために招待者をどれだけ絞れるか。人を招くのは簡単ですが、誰を招かないかを決めるのが難しい。しかし、「誰でも招待されているってことは、誰も招待されていないこと」になります。
場をデザインする
場をデザインするとは、会場そのものの選択と、当日に主催者が果たす役割の大きく2つがあります。
『最高の集い方』では、会場そのものが集まりの質を左右する要素として挙げられています。飲み会を目的がある「特別な場」としてデザインすることが、参加者の満足度を高めます。
また、「場をデザインする」ことは、集まりを成功させるために主催者が果たすべき重要な役割です。
①ゲストを守る
主催者は、ゲストを他のゲストから守り、退屈から守る責任があります。これには、話題が尽きないような工夫をすることも含まれます。たとえ主催者自身が矢面に立つ場面があっても、その役割を引き受ける覚悟が求められます。
②一時的にゲストの序列をなくす
ゲストにはそれぞれ社会的な肩書がありますが、その肩書を一旦忘れてもらう工夫が必要です。例えば、ロールプレイによる立場の入れ替えなども有効です。これにより、全員が対等な立場で会話や活動に参加でき、情報の流通を高めることができます。
③ゲスト同士をつなぐ
つながりは自然に生まれるものではないため、主催者が積極的に介入し、望ましいつながりが生まれるような場を設計する必要があります。例えば、ゲスト同士が話しやすいように席を配置したり、会話のきっかけとなるアイスブレイクを準備したりすることで、より深い交流を促進できます。
イベントを主催することで得られるメリット
飲み会を主催することは、以下のようなメリットがありました。
想起を獲得する
イベントを主催することで、主催企業や個人を想起いただく機会を得ます。飲み会のテーマや雰囲気を通じて、自社の価値観やビジョンを直接伝えることができます。
信頼と影響力の強化
主催者は自然と「縁を繋ぐ中心人物」として認識され、参加者との信頼関係を深めることができます。
情報収集の効率化
イベントを主催することで、ターゲット顧客やパートナーから直接フィードバックを得ることができ、マーケティングリサーチの効率が向上します。
結び:戦略的飲み会がビジネスにもたらす可能性
飲み会は、コミュニティマーケティングとイベントマーケティングにおいて強力な施策です。それに、我々は結局、「今、あるもので戦う」ことしかできません。
しかし、『最高の集い方』のエッセンスを活用することで、飲み会を「戦略的なイベント」に変えることができ、「あるもの」の価値を見直して戦うことができます。
次回の飲み会が、皆さんのビジネスに新たな可能性をもたらすきっかけとなることを願っています。osake1st!
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![小倉 一葉|KEEN株式会社・界隈マーケティング](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/110830357/profile_6753267b9c1976d71d1febaa47e48a87.jpg?width=600&crop=1:1,smart)