【小6でもわかる長崎市財政】③歳入を見てみよう〜決算カードの読み方
今回は長崎市の収入である「歳入」を細かく見てみましょう。
歳入を詳しく見てみよう
R5年度歳入の内訳
R5年度の歳入総額は「2,392億円」でした。
円グラフの黄色の部分に「依存財源63%、1,522億円」、
水色が「自主財源37%, 870億円」とあります。
小学生のお小遣いで考えると、2390円の収入のうち、1520円が親からのお小遣いで自分で稼いだ分が870円というような割合です。
依存財源とは何?
63%の依存財源には3つあります。
①地方交付税…仕送り
②市債…借金
③その他の依存財源(国庫支出金など)…仕送り
①と③はどちらも仕送りですが、③は道路の建設など使い道が決められた仕送りです。
①の地方交付税は前回の投稿でも少し触れましたが「それぞれの自治体の規模」に合わせて支給されるものです。
どうやって自治体の規模を判断するの?
どのようにしてそれぞれの自治体に必要なサービスを維持するための金額が算出されているのか不思議に思いますよね。
そこでこちらの決算カードを紹介します。
財政に関わる全ての数字がまとめられているのが決算カード。
総務省から毎年出されています。
上記のようなゾーンに分けてデータがまとめられています。
自治体に必要な予算を割り出すための数字については右下の「各種財政指数」を参照します。
各種財政指数の中にある「基準財政需要額」
各種財政指数の中に「基準財政需要額」という項目があります。
これがまさに、「各自治体が標準的な行政サービスを提供するために必要な費用」とされています。
基準財政需要額は次の式から算出されます。
単位費用: 標準的な行政サービスを提供するのにかかる費用
測定単位: 人口などの指標
補正係数: 地域特性等を考慮した係数
ざっくりと「一人暮らしの学生と市財政を比較」してみる
少し難しくなってきたと思うので、一人暮らしの学生の家計と対応させてみましょう。
すると次のようになります。
支出の総額を計算するために、家賃や食費や生活費にかかる金額を出していきます。
それと同じ家庭が基準財政需要額の求め方で、自治体の人口や面積などをもとにサービス維持のため必要な金額を出します。
そこで出た支出総額からバイト代で賄える金額を引くと、親から仕送りをしてもらわないといけない金額が出てきます。
これが「地方交付税」にあたる部分です。
測定単位
測定単位の中では第二回で説明したように「人口」が非常に大きな影響を与えます。
測定単位についてもう少し詳しく見てみましょう。
人口
多くの行政サービスは、住民を対象としているため、人口は最も基本的な測定単位となります。
例:消防、警察、福祉、ごみ収集など
面積
道路、河川、公園など、面積に応じて費用が変動するサービスの算定に使用されます。
例:道路整備、河川管理、公園管理など
道路延長、河川延長
道路や河川の維持管理に必要な費用を算出する際に使用されます。
児童生徒数
教育に必要な費用を算出する際に使用されます。
例:学校運営費、教職員給与など
世帯数
上下水道やごみ収集など、世帯を単位として提供されるサービスの算定に使用されます。
非課税世帯数
事業所数
産業振興や環境対策など、事業所を対象としたサービスの算定に使用されます。
高齢者人口
高齢者福祉や介護サービスなど、高齢者を対象としたサービスの算定に使用されます。
このように、様々な測定単位を用いて、行政サービスの種類を割り出し、そのサービスにかかる費用を出して計算することで行政サービスに必要な経費を算出しています。
それぞれの土地の条件によってそれらのサービスの提供しやすさが変わるので、この条件の違いを「補正係数」にして算出しています。
こうして行政サービスに必要な費用を測定単位を用いて算出することで、基準財政需要額を割り出しているのです。
地方交付税の算出
そしてこの「基準財政需要額」という必要経費額から、その自治体で挙げられる税収を引くと、不足する金額が出てきます。
これを「地方交付税」でまかなっている状況です。
「基準財政収入額」も先ほどの決算カードの中で示されているので、地方交付税額は決算カードから弾き出すことができるわけです。
まとめ
・歳入には主に「仕送り(地方交付税など)」と「借金(市債)」と「稼いだ額(税収)」がある。
・仕送り額(交付税)を決めるために、予想される支出の総額(基準財政需要額)を人口や面積などのいろんな角度から見た「測定単位」から弾き出している。
・決算カードには各自治体の財政に関わるほとんどのデータが網羅されている