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長崎市の一人当たりの避難所面積や防災DXについて聞いてみた【一般質問】

2024年9月議会での一般質問をダイジェストでまとめていこうと思います。

「防災のあり方について」(1)避難所の人口カバー率

長崎市の避難所面積がどれくらいあって、一人当たりどの程度の面積が確保されているのか気になったことはありませんか?
今回の質問ではそこを明らかにしました。

長崎市で起きると想定される大規模災害の被害の大きさ


まず、長崎市で起きる大規模災害の規模ってどれくらいを想定しているのか?ということですが、これは「雲仙地溝」の南縁においての連動した地震が起きた場合と考えられています。(雲仙地溝南縁連動)
参考▼
長崎県の地震被害想定まとまる〜今こそ地震対策を〜

この場合、震度6強。
建物被害は2万棟以上、避難者数は5万1千人と想定されています。

5万1千人は長崎市の人口の約13%。
こんなに多くの人たちが一度に避難できる面積は確保されていたのでしょうか?

避難所の総面積と一人当たりの面積

危機管理監からの答弁によって、避難箇所は265箇所
避難所の総面積は10万8千㎡であることがわかりました。
先ほどの雲仙地溝南縁連動では5万1千人の避難が想定されていますが、
一人当たりの避難所面積を望ましいとされている2㎡とすると、5万4千人の避難が可能な総面積となっています。

ただ、2㎡というのは人がひとり横になれるくらいです。
長期の避難には向きません。

長期の避難に向けて

では、長期の避難にあたって推奨される面積はいくらでしょうか。
これは8㎡とされています。ただし、占有面積としては4㎡で良いとのことです。

熊本地震の際、発災から1週間後の避難者数は半減しました。
ご自宅に戻られたり、知人友人のお宅に行かれたりするわけです。
長崎市でも想定として2週間後の避難者数は4600人であるとしています。
よって、十分に対応できるとの想定になっています。

また、長期避難の場合、体育館のような場所での避難ではなく、ふれあいセンターや公民館などの環境の整った公共施設において長期避難が想定されています。
体育館のような場所での長期避難を想像していただけに、少し安心いたしました。

災害時の切り札とは?

5万1千人が避難するような状況を想像してみてください。
相当な被害とパニックです。
自前の消防団と警察だけではまかなうことができないほどの被害となった時、私たちの街は外から来る支援を受けるためにどこまで準備ができているでしょうか?

大規模災害発生時の指揮系統と実動部隊の構成

大規模災害が発生したとき、上記のような体制が敷かれます。
グレーで囲ってあるのは「実動部隊」です。
左の赤色は地元の組織です。
グレーの中の水色が他所から来てくださる救援の組織です。
外からの支援に頼らざるを得なくなります。
けれども、私たちの街のことを一番知っているのは誰かと考えると、当然それはここで暮らしている私たちに他なりません。
つまりこの図でいくと「赤色」の人たちが非常に重要な役割を果たすことになるのです。

現地の情報を正しく伝達する

入り組んだ道、車の入らない斜面地、地元の人にしかわからない町名。
初めて来た人たちが即座に対応できるはずがありません。
赤色の特に「消防局、消防団」の皆さんの初動が非常に重要で、この情報が正しく横に、そして上に展開されることが、発災直後の被災地に正しく素早く支援が行き渡る条件になります。

災害現場のリアル

現地合同調整所

こちらは令和5年に行われた防災訓練における現地合同調整所の様子です。
テーブルには紙の地図、背後にはホワイトボードが並びます。
非常にアナログなやり方で情報共有が行われているのがわかります。
アナログのメリットはいくつもあります。
変更するのが簡単であること、誰にでも使えること、わかりやすいことなどです。

しかし、先ほどの図にあったように、非常に多くの人たちが入り乱れて救援に当たる現場において、情報が集まる場所がここしかなく、ここに行かなければ状況がわからないのだとしたら?
正しく早く情報が伝達できると思いますか?

災害時に必要なことは「スピードと正確性」

伊勢さん

今回、質問準備にあたり、防災科研の伊勢正さんからレクチャーをしていただきました。

伊勢さんはこれまでにも大規模災害の発災直後の被災地に入り、さまざまな団体が主体的に情報を共有できるようなシステム作りに奔走されています。
スピードと正確性が求められるはずの災害現場がまだまだアナログであるためです。

能登半島地震の際のエピソード

能登半島地震の際にも、正しい現場での情報収集とその共有が行われなかったために、次のような事態が起きたとのことです。
現場での正確な被害の状況が不明であったため、自衛隊は人口規模から推定して1個連隊を派遣。
しかし実際に行ってみるとさらに2個連隊が必要であることが判明し、1週間後に追加で派遣されたとのことでした。
このタイムラグによって現地の方々が被った苦しみは間違いなく存在します。
もしかすると失われずに済んだ命があったかもしれません。
正確に状況を把握することができないと、こうしたことが起きるということです。
現地の情報を誰でも正しくすぐにリーチできること。
これが非常に重要です。

防災科研との連携を提案

伊勢さんの所属される防災科研では、基礎自治体との連携も模索されているとのお話でした。
実際の現場にいる「消防が非常に重要なんです」という言葉を何度もおっしゃられていました。
その消防を抱えているのが基礎自治体です。
今回の質問の大きな目的はこれ。
「防災科研との連携」なのでありました。

答弁でもこれから色々調べてみるねとのことでしたので、私も早速伊勢さんにご連絡しました。
長崎県とのお仕事があるとのことだったので、その際に長崎市にも来ていただくこととなりました。

一般質問の中でもお話ししましたが、私の故郷の札幌市は新しい街なので非常にわかりやすいまちづくりになっています。
初めての人でも初めての場所に行き着くことができる作りです。
しかし長崎市はそういう作りにはなっていません。
だからこそ、受援を受ける側としての準備が必要です。

大きな災害は起きないと言われている長崎市ではありますが、しっかりと備えをして、最低限の被害でとどめて立ち直っていけるように備えていただきたいと思います。

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