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2-2 ギアはニュートラルで

 公務員の無駄づかい
 よく言われた言葉です。
 無駄を減らさなくてはいけない
 確かにそうです。

 公務員は、机に向かって、真面目に仕事に取り組む。
 でも、それでいい仕事って本当にできる?


持たないこと

 コロナ禍で、地方自治体も働き方にバリエーションが出てきました。
 コロナ前は、普通に出勤して、庁舎で仕事する。
 また出張したり、市民のところに行ったりというのがスタンダード。

 それが、出勤を分散させるなど、これまでなかなか取り組まれなかったことが、急に対応せざるとえないことになりました。

 よく国が企業に3割出社をお願いしている時期がありましたが、土日との振替や時差出勤、またテレワークなども制度として急遽設けられ、僕の部署では、最大5割程度の出社率にしている時期がありました。

 こういう働き方になると、決裁、民間企業でいう稟議書は電子決裁となります。
 市役所の仕事でもコンピュータがないとやっていけない時代にはすでになってますが、テレワークでは家から同じ環境でコンピュータを操作できるような仕組みが整えられました。
 書類も紙をファイリングして個人持ちにしているというものが、電子化され、共有される。だれもがどこに何があるか、また個人でもつノウハウが、みんなで共有する。そんな仕組みになってきています。

 市役所には、いろんな職場がありますが、窓口や相談をはじめとする市民対応の職場はなかなか出勤調整が難しいことになっているなど、職場によってもばらつきがありますが、仕事的にはぼくの好みのスタイルになってきています。
 人によっていろいろ考え方が違いますが、ぼくはこういう仕事のスタイルが新しい発想を生むのに適していると思ってます。

  コロナ以前からフリーアドレスの導入は一部で進められていましたが、ここにきて、再び進められています。

 全部局というよりも、今のところは希望する部署で先行導入しているという感じです。

 引き出し付きの机が、引き出しなしのキャスターで移動可能な机。引き出しの代わりに個人にはロッカー。また会議机も立って会議できるよう高さが調整できるものといった感じ。立って会議をすると、会議時間が短くなるということだそうです。

 オフィス用品の会社のフリーアドレスはもっと進んでいて、秘匿性の高い商談エリアでは、声が漏れないような吸音パネルで仕切られ密室になっていたり、カフェのように横並びで外を見ながら仕事したり、キャンプのテントが張っているエリアも。毎朝必ず訪れる個人郵便物のボックスの横にカフェエリアがあり、ふとしたところに椅子があったり、コミュニケーションが取れるような仕掛けが沢山ありました。

 私立の学校に視察に行った時にも、職員室がフリーアドレスになっていて先生の人数分の机がなく、先生は教室横に机があり、例えば休み時間でも子どもに近いところでも仕事ができる仕掛けがされていました。教室の枠が取り外しでき、廊下に台形型のソファが置いているのですが、自由に組み合わせて、遊びに、授業に使えるようになっている仕組みがありました。

 フリーアドレスは、固定化されたレイアウトから、仕事に合わせて柔軟にレイアウトを変え、コミュニケーションをする。自分の机をなくすことにより、個人持ちのファイルをなくす。

 ノウハウもアイデアも、自分の引き出しにしまわず、共有のところに出す。
 いわゆる持たないこと。

 人間はズボラなもので、近くにいる人と話す。だから、座席も固定化されると、同じ人としか話さない。これでは創造的な仕事なんてできるわけがありません。

 仕事の環境をフレキシブルに変えて、違う人とふれあい、脳を借りて自分を拡げていく。そんなことが、公共政策の仕事をする上では必要ではないかと思います。

減点ベースをやめろ

 フリーアドレスは働き方の変化に対してオフィスの作りを変えていくと言うものですが市役所でフリーアドレスをやろうとしたときに、1番気になるのは市民からの見え方

 例えば、昼寝を30分すると仕事の効率が2倍以上上がるといわれますが、昼寝をしている姿を市民が見ると、サボっているように見える。
 効率を上げるのは市民にプラスになるはずが、こうした批判は事実あります。

 職員の給料を時給に換算するといくらになると思いますか?

 例えば新卒の職員、初任給月給手取りで20万円として、20万円÷(4週✖5日)=日給1万円 8時間労働として、1250円です。
 でも市民負担としては年間700万円として、1時間2700円ほど平均でかかっている計算になります。

 課長級では、手取り40万円として2500円。
 このお金を有効に使うこと。これこそが、無駄を省くというものです。

 机に向かって、真面目に仕事する。事務を実直にする。
 それは、目立たなくて、責められることはない。
 昭和的な発想ならそれでいいですが、問題は成果が上がっているかどうか。
 そのためには、重箱の墨を突くような減点方式の評価ではなく、何にチャレンジしたかを基に評価することが求められるのではと思います。

ニュートラルでいること

 公務員は何に気をつけて仕事する?

 今、現役の公務員はこう思うのではないかと思います。

 怒られないように・・・・

 例えば市民に、例えば議員に、
 ミスのないように
 間違えないように

 大切なことです。

 でも、恐る恐るの仕事でいい結果が生まれますか?

 間違えること
 人だから間違えることあると思いませんか?
 
 行政マンが一番持っておくべきこと
 それは、いつもニュートラルでいること

 感情的になると、相手の意見を聞くことができなくなり、物事の本質がわからなくなります。

 ニュートラルギアとは、車では前にも後ろにも進まない状態。でもスイッチ一つでどちらにも進める状態です。

 フリーアドレスなどで、自分の書類や引き出しを持たないことも、自分という存在を置いておいて、今、ここにいる瞬間にニュートラルでいることを示しています。

 これができると、どんな場面でも恐れることがありません。

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