シャーロッシくんの事例簿その5
社労士会労働紛争解決センタ-は全国に46ヶ所あり、職場の個別紛争の解決のために、あっせんを行っています。
センタ-で受理したあっせん件数は平成30年3月には千件を超えました。あっせんがどのように行われ解決に至っているのかを具体的に知りたいとの声にお応えして、実際に社労士会労働紛争センタ-で解決してきた事例をご紹介して行くことになりました。(個人情報保護の観点から内容を一部変更しています。)
5回目は、労働契約の変更に異議を申立てたところ試用期間満了による解雇予告通知を受け、その撤回を求め争った事例です。
◆あっせんの概要
申立人は入社の際、入社後1年間は契約社員で 2年目以降は正社員として無期雇用するとの説明を受け入社した。しかし、入社後郵送されてきた労働契約書に「期間の定めのない労働」と記載されており、入社時に説明を受けた労働条件を上回るものであったが、早期に正社員になれたと考え疑義を申し立てることもなく労働契約書にサインをした。
ところがその後、1年間の有期契約の契約書が 郵送されてきたため、被申立人に変更理由の説明を求めたが回答がないばかりか、試用期間満了による解雇予告通知書を手渡された。解雇理由の説明を求めるも具体的な説明はなかった。到底納得できるものではなく、解雇撤回もしくは金銭解決を求めたところ、被申立人から和解案が提示されたが、申立人はこれに納得せず解雇撤回もしくは賃金6ヶ月相当額の支払いを求め、あっせんを申立てたもの。
◆紛争の背景
申立人は採用後に郵送された労働契約書の内容が説明もなく変更された事に疑問を持ち、理由をたずねたところ一方的に解雇を伝えられた。
・申立人が解雇撤回もしくは金銭解決を求めるべく被申立人に内容証明郵便を送付したところ、被申立人から、自己都合退職による退職願の提出を条件に賃金2ヶ月分相当額の支払い等が提示されたが、 申立人には納得できない内容であった。
◆申立人の主張
申立人が勤務を始めた後に「期間の定めのない労働」と記載された労働契約書が郵送されてきたが、その後何ら具体的な説明もなく「1年の有期雇用」の労働契約書が再度郵送されてきた。被申立人に一方的変更について理由を求めたが回答がなく、更に解雇を言い渡され、解雇理由の説明もなかった。
解雇撤回もしくは金銭解決を求めた後に、被申立人から一方的に自己都合退職の退職願の提出を条件に賃金2ヶ月分相当額を和解金として支払うとする回答がきたが、この対応に納得できない。
・解雇撤回もしくは賃金6ヶ月相当額の支払いを求める。
◆被申立人の主張
・入社時に、申立人に交付した期間の定めのない労働契約書は事務的な誤りで、申立人は入社時に入社1年間は有期労働契約である旨納得して入社している。本来の労働条件に戻すため間違いを修正したに過ぎない。
・申立人の勤務態度を上司や同僚に確認した上で、
本採用できないと判断したものである。
・事務的なミスを認め、早期解決を望むことから、自己都合退職の退職願の提出条件であれば賃金2ヶ月相当額を和解金として支払う意思はある。
◆あっせんの内容
・申立人は既に正社員としての採用を求めるつもりはなくなり、金銭解決のみでよいとの意向で、金額も賃金3ヶ月相当額まで譲歩し、自己都合退職の退職願を提出することも問題ないとのことであった。
◆あっせんの結果
・申立人が自己都合退職の退職願を提出することに同意したこと等から、被申立人は賃金3ヶ月分相当額の解決金を支払うことで合意し和解が成立した。
あっせんによる解決をご希望の方は!
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