大阪市が「ヒマラヤスギの全数撤去」の根拠の一つとして出した論文・ブログ等
大阪市は、どんなに健全な状態でもヒマラヤスギであるというだけで伐採するという方針を取っています。
私たちが、「(その措置は)科学的合理性を欠く」と指摘する樹木医の鑑定書を大阪市議会に提出してから、大阪市は「公園樹・街路樹の安全対策事業」のHPに「 Q4 ヒマラヤスギの植え替えを行う理由は」という文章を掲載しています。
私たちはこの文章の最後の部分にある「平成30年に発生しました台風21号や台風24号による被害の状況等をまとめた研究論文等」「他都市においても将来的な倒木の危険性があるとして撤去している事例など」に注目し、大阪市がどういう論文や事例をもとにこの部分を書いているのか情報公開請求を行いました。このたびようやく情報提供を受けたので、広く公開したいと思います。
これらの論文などが「ヒマラヤスギの全数撤去」という大阪市の特異な方針を根拠づけるのか、みなさまにもぜひとも検証していただきたいと思います。
情報提供されたのは、5つの資料です。
すべてインターネットで読むことができます。
▽資料①
台風被害をうけた都市緑化樹木の幹被害と材の曲げ強度との関係
(大阪府立大学 中村彰宏 著 · 2021)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/47/1/47_75/_pdf
▽資料②
「台風21,24号による樹木の倒伏、幹折れ等の被害について」
(日本ビオトープ協会 協会技術委員長 直木哲 2018)
▽資料③
台風24号による倒木等被害の対応について
(及川美奈 国営昭和記念公園事務所工務課)
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000747812.pdf
▽資料④ヒマラヤスギの伐採について(戸田市公式サイト)
▽資料⑤
台風23号 過去25年で最悪の被害~街路樹、公園樹倒木相次ぐ~
(樹木医トピックス)
これらの資料に、私たちは目を通しましたが、個別のヒマラスギの倒木事例が解説されているだけです。
東京新聞(2024年3月10日)の記事にある<地域緑花技術普及協会(東京)の細野哲央代表理事は「ヒマラヤスギは確かに倒れやすいが、それだけで切るのも聞いたことがない」と非難する>という専門家のコメントをくつがすほどの資料とはとても思えません。
※去年9月(2,023年)に大阪市議会に出した「ヒマラヤスギの扱いの見直しを求める陳情書」ですが、年度末の委員会で、維新と自民によって「不採択」となりました。9月の委員会では「引き続き審査」だったにもかかわらずです。2023年度中に、大阪市内の公園からヒマラヤスギをすべて撤去したので、陳情も葬り去ろうという強い意志、悪意を感じました。