日記

2024年08月17日(土)

 難波の喫茶店で友人と四方山話に興じる。
 取り留めもない雑談こそが発想の源泉であり、セレンディピティの宝庫であるが、この日は空振り。そんな日もある。全ての日に天啓が下りてくるなら、デルフォイの神殿は必要ないのだ。

2024年08月18日(日)

 本来であればコミティアに一般参加していたはずであるが、諸事情により泣く泣く断念。喫茶店で書き仕事をし、餃子の王将で天津飯を食べた。
 考えてみれば王将の天津飯を食べるのは随分と久しぶりで、豪く大きなカニカマが二つも乗っていて驚いたものである。
 確かに小さな蟹の身が乗っているより、食べでのあるカニカマが二つ乗っていた方がいくらか嬉しいかもしれない。
 佐藤賢一の『最終飛行』を読む。サンテグジュペリという型にはまらない人間の魂が空に解き放たれるまで、星に還るまでの物語であった。佐藤賢一は最早フランス史を描くことをライフワークとしているが、確かにサンテグジュペリの置かれた立場というのは、フランス史を佐藤賢一の筆致で追ってきたものにしか分からない悲哀があるのだ。

2024年08月19日(月)

 何の進捗もない日の執筆記録ほど空しいものはない。
 この世界の空間と時間の一隅を占めていた。

2024年08月20日(火)

 大鬱である。
 毎年、夏が秋に切り替わる瞬間に、心をひどくやられる。
 気温や気圧や何かそれ以外のものによって内分泌がひどく痛めつけられるのか、こうなるとなにもできない。
 風呂に入れば少しマシになるのだが、自宅の浴槽では追い炊きもできないのでいくらも満足できないから、温浴施設へゆかねばならない羽目になる。
 途中で力尽き、スーパー銭湯へ行くことは諦め、サウナの浴場で手を打った。帰りにとんこつラーメンを食べ、少し人間の形になった、と思う。

 田中敦子の訃報に接する。
 合掌。





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