日記

2024年09月11日(水)

 専門学校でラノベの講義をしてきた。
 私は専門学校と雇用契約を結んでいるわけではないので、年に数回、特別講義の形で招いて頂いている。ありがたいことである。

 講師をしているというと「え、ラノベに専門学校ってあるんですか?」としばしば驚かれる。私もはじめ聞いたときには大いに驚いた。
 何を教えているのか、と言われると、私にはよく分からない。普段のカリキュラムを知らないからである。けれども、色々のことを学んでいるらしいということは特別授業でプロットの講評をしても伝わってくる。

 今日の生徒たちは二年生で、この三月で卒業することになる。なので、通常の授業内容に加えて、心構えなども少し厳しめに伝えてきた。

「書きたいから作家を目指す」のか「作家になりたいから書く」のか。
 どちらに軸足を置くかで、書くものというのは自然と変わってくる。デビューした後の身の振り方も、変わってくる。
 よく言われるのは「デビューはゴールではなくスタートである」ということだが、まさにその通りで、デビューをした後は一個の生活者として、作家業を生業にして生きていくことになるのだ。もちろん、専業、兼業の別はあるが。

 ライトノベルというフォーマットが市場の一角を占め、その創作者を養成するために専門学校に1コースを設けられるというのは、文明の爛熟という意味において、一つの勝利であると思う。
 しかしてその勝利は今、大きな危機に瀕している。少子化や紙の価格の高騰など、作家の努力では如何ともしがたい問題が山積している中で、自分は後進に何をしてやれるのかと考えると、ただ一期一会の講義であっても、深く深く考えさせられるのである。

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