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吸い殻の街
2025年02月26日(水)
万博を控え観光都市としての地位固めに躍起になる大阪市が路上全面禁煙になったのはちょうど1ヶ月前の1月27日のことで、それ以来、タバコの吸い殻は明らかに増えている。
矛盾しているような気がするが、実際に増えているのだ。
これまでも大阪市には路上禁煙エリアがあり、「ああ、ここは吸うたらあかんのか」とおっちゃん達は足早に路上喫煙できる場所を探していたものである。
しかし、それも1月27日までの話。
全域が路上喫煙禁止になった以上、喫煙スペースを探すしかないが、そんなに都合よく見つかるはずもない。そして、もし見つかっても、罰金はたったの1000円である。
昔、イスラエルである保育所が困り果てていた。どうしても保育時間内に迎えに来られない親がいるのだ。保育所としても預かってあげたいのは山々だが、保育士にとっては残業である。保育所としても、そのために超過勤務手当を払うのは負担となる。
そこで、一計を案じた。罰金制である。もし、時間内に迎えに来ることができなかったら、保護者から罰金を取ることにしたのだ。これで保護者もわかってくれるはずであり、時間内に迎えに来てくれるに違いない。
結果はどうなったか。
時間内に迎えに来ない親が、激増したのである。
それまでは、「時間内に迎えに来ることができなくて申し訳ない」という気持ちだった保護者だったが、罰金によって、「罪悪感に価格がついた」のである。価格がついたものは、サービスである。保護者達は罰金を支払い、悠々と迎えに来るようになってしまった。
大阪市でも、同じことが起こるだろう。
しかもこちらは路上喫煙を取り締まる人の数も少ない。
これまでは限られたエリアでのみ吸われていたものが、結局は全面喫煙にしたことで、どこででも吸われるようになってしまう。今やタバコも1箱600円。罰金1000円では2箱分にもなりはしない。シンガポールなら1万円は取られるところである。
これを“悲劇”と見るか、“喜劇”と見るかは、人によって意見の分かれるところであろう。
ちなみに、私がタイトル画像に使った吸い殻を撮影したのは、『なんばグランド花月』。つまり、よしもと新喜劇の本場であったことを付記して、この日記を終えたい。