日記
2025年02月09日(日)
中国人は四本足のものは椅子以外なんでも食べる、なんて言葉がある。
フリーランスの人間関係について最近よく聞かれるが、私は「椅子と同じく脚を四本持つことではないでしょうか」と答えている。
「自立とは、依存先を増やすことだ」、と誰かが言っていた。
けだし卓見である。
人間はヒューマンとしてもホモ・サピエンスとしても、何かに依存せずに生きることはできない。
だから私は、椅子のように椅子のようになれ、といっている。誰かに座られろというのではなく、安定するために四つの依存先をつくろう、ということだ。
フリーランスは、孤独だ。
はじめましてよりもさよならが多い。さよならを言わずに縁が絶えることも多い。
だから、しっかりと四つの脚の置き場を確保しよう。
家族、同業者、業界外の友人、あるいは仲のいい編集者etc.
四というのは最低限の話であり、五本でも六本でもいい。(最近の事務椅子はたいてい五本足である。
あの愚痴はここで。この愚痴はこっちで。
ペルソナとロールを使い分けることで、負担と依存とを減らす。
これは頼り過ぎることへの警戒と、疎遠になったときのリスクヘッジである。(だからといって、家庭を二個もてという話ではない。
フリーランスとはとかく恨まれやすい。
自分には愚痴のつもりでも、相手には自慢と聞こえることは、ままある。
けれども愚痴を言わずにいられるほど人間は強くない。王様の耳はロバの耳と漏らすのは問題だが、王様に無理な納期を押し付けられている愚痴は言いたいだろう。
しかし、脚が多過ぎるのも、また難しい。
コミュニケーションには個人個人に限界があり、依存先を増やし過ぎるtことはメンテナンス不良を起こすことがある。
誰でも彼でもではなく、自分が心地よく付き合える数と濃度の依存先を持つことが大事である。
フリーランスにとって、「時間」と「思考リソース」は換金資源である。
これを如何にして自分でマネジメントしていくかが大切だが、依存先のメンテナンスのために自分が経済的苦境に陥っては、生活が破綻する。すべてはバランスなのだ。
ついでに言えば、椅子そのものも大事である。
先輩作家からは「最初の印税では20万以上の油圧式の椅子を買いなさい。必ず、座って試してから買うように」というアドバイスを頂いた。
友情は壊れても別の人と結びなおせるかもしれないが、腰ばかりはどうしようもない。
フリーランスには、椅子と椅子、という話であった。