日記

2024年10月06日

　うつ病を患っている人間の悪癖であるが、少し気分がよくなるとこれまでの遅れを取り戻すべく、自分の怠惰さに復讐するかのように仕事を詰め込んでしまう。はじめは具合よく進められるのだが、いざ離陸する段になってエンジンに気化噴入する燃料に不足が生じ、飛行機は見事滑走路で散り果てることとなるのだ。
　今年もまたその傾向が出ており、今まさに航空管制官が異常を感知しつつあるという情勢である。

　体調が悪く、出歩くこともままならない。そろそろ日用品を買いに行かねばならないのであるが。全ての原因は怠薬であり、それが分かっているのに取りに行けない私の弱さである。

2024年10月07日

　書き仕事に一定の進捗があったが、北海道一周旅行を一週間でせねばならないのに三日目でまだ函館から出ていないような有様であり、遅々として進まない。このままでは、終わりだ。

2024年10月08日

　何年か前に江戸川乱歩のメモが発見され、あれだけの大作家が書けない書けないと弱音を吐いていたのを見て勇気づけられたものだが、江戸川乱歩はそれでも後世に残る作を多く残しており、私は単にできない奴である。

　インポスター症候群と完璧主義と先送り癖の三者が肩を組んで鉄壁の包囲陣で私の憶病な自尊心と尊大な羞恥心とを責め立てる。終わりだ。

2024年10月09日

　計算してみると、来週の今日までにあと四万字ほど書かねばならない計算であることが分かった。西尾維新であれば二日、蝉川夏哉であれば半年かかる文字数である。神よ！
　私の筆速の二十六倍の速さで書けばよいということであるが、そんなものは無理である。どうにもならない。

2024年10月10日

　進捗、なし。
　世界が美しく見える。