幸せを手に入れる最後の方法 ~2年間のカウンセリング実録~ 18.生き残るために②
「まーくん、夢を診断してください。
・別れた彼が入院していると噂で聞き、総合病院に行きました。
本人に直接聞けないので入院患者フロアを彷徨っていたら、別れた彼の友達が担架に全身包帯の姿で運ばれていました。
(ここで怪我人が別れた彼ではなく、彼の友達という認識に変わります。)
彼の友達は目だけが見えた状態で重症でした。
顔を殴られたと言っていました。
それでも彼の友達の病室のベッドには彼の友達を好きな私の知り合いの女の子がいて、二人はいちゃいちゃしていたので私は帰りました。
よろしくお願いします。」
「咲笑ちゃんこんにちは。夢分析の結果を伝えます。
※異性の友人はアニムス(男性)とアニマ(女性)と呼ばれ、アニムスは行動をサポートしてくれるものの象徴となります。
この場合、怪我人が別れた彼なのか、彼の友達なのかは関係なくなります。
<夢の示す内容>
病院:治癒すること、元気を取り戻すこと、精神的・肉体的治療の必要性、避難所
見舞い:誰かを思いやる気持ち、同情、状況の確認
顔:自己イメージ、心の奥の感情
殴られる:自分の非力さ、非難や批判、感情を揺さぶる人物の存在
包帯:その部分が使い物にならない、逆にその部分に注目されたい
カップル:両親との関係の中で形成された行動パターン、パートナーとの関係
いちゃいちゃしている:愛情への願望
帰る:癒されたい気持ち、逃げようとしている
<分析>
・精神的に治療が必要かどうか、状況の確認を促されている?
・元気を取り戻すために、今は状況の確認をしているところである。
・自分の心の奥に隠している非力な感情に注目して欲しいと思っている。
・感情を揺さぶる人の存在が自分の感情を心の奥に追いやっている。
・自分の身近な人に愛情を求めているが、そこから逃げようともしている。
・『病院』に重きを置いて考えると、避難するまたは治癒するという行動や結果が示唆されているのかも。
あくまで可能性の話だけど。」
「ありがとう。
友達が『病院に行こう。必要なら一緒に行くから。』と言ってくれています。
『咲笑はよく頑張った。自分が咲笑の状況にいたら、とっくの昔に駄目になってるよ。』って。
最近、母に似ている自分の顔が嫌になります。でもその可愛らしさを武器にしている自分も嫌です。」
「ちょっと前にメンタルを紹介した僕の古い友達がいるんだけど、その人は以前病院で鬱の診断を受けた時、『自分がつらかったのは自分の心が弱かったからではなくて、病気のせいだったんだ。』と思えたことがとても良かったと、気持ちが楽になったと言っていました。
この考えは人によって違うと思うから、最良の選択が何かは分からないけれど、咲笑ちゃんが病院に行きたいと思うのなら、死を考えてしまうところからどうしても離れられないのなら、病院に行くという選択肢は生きるために必要なことなのかも知れない、とも思います。
逃げではなく必要な方法として。
僕は咲笑ちゃん自身の中に、自分で立ち直る力があると思っているから、ずっと病院に行かない道を選んで欲しいと思っていたけど、ひょっとしたら僕の思いは咲笑ちゃんにとって負担なのかもしれないと少しだけ思っています。
そして僕も、咲笑ちゃんは本当によく頑張ってきたと思います。
お母さんに似ているのが嫌な気持ちも分かる気がします。
僕も大嫌いで関係を断絶していた父に驚くほどよく似てるから。
とっても嫌だったけど、生物学的に外見が似ているのは仕方ないし、中身は自分で選べるし作っていけると思ったら少し楽になりました。
かわいらしさを武器にするのは嫌な気持ちになる。
でも、同じ外見でも表情や態度で他人から見た心象は全く変わる。
だからその可愛らしさは『お母さんに似た可愛らしさ』ではなくて、『咲笑ちゃん自身の持つ可愛らしさ』だと僕は思います。」
「治す気がありません。
鬱だとわかれば、仕方ないと、その日のうちに死ぬと思います。」
「咲笑ちゃんは自分がそう考えてしまうと思うんだね…。
じゃあやっぱり、咲笑ちゃんの中にある力で生きていこう。僕も協力したい。
今はそう思えないかもしれないけれど、一度乗り越えてるから、きっと大丈夫。」
幸せを手に入れる最後の方法
~2年間のカウンセリング実録~
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
病院に行く。病名をつけられる。
それは死刑宣告のように受け取る人もいれば、心を軽くするものとして安心の材料とする人もいます。
同じように自分の言葉も、誰かの心を救うことがあります。
自分を見くびらず、自分にしか出会えない人に、自分にしか伝えられない言葉を伝えていきたいものですね。
次回はまた明日更新します。
よろしければ是非おつきあいください。