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幸せを手に入れる最後の方法 ~2年間のカウンセリング実録~ 21.戦う体力①

「まーくん、自分をごまかしながら、なんとか5月まできました。

頑張るけど、もしもの時はごめんなさい。

まーくんは十分助けてくれたからね。」




 このメッセージを貰った時、僕は咲笑ちゃんに呼ばれたんだと思った。

偶然にも翌日、僕は咲笑ちゃんに会うことが可能な場所に行く予定があった。


 でも違った。

会えるかどうかを確認した僕に、咲笑ちゃんは『ううん、大丈夫です。お仕事頑張ってね。』と返してきた。



 でもこの返事で僕は、僕のなかにあった疑問のひとつを解消することが出来た。


 咲笑ちゃんはカウンセラーに対して苦しみを伝えているが、本当は「構ってくれる人」を求めているだけではないのか。

自分の相手をしてくれる人がいない時、繰り返し僕を頼っているのではないのか。

心理学用語で「ゲーム」。

何度も考えたことだった。


 でもこの時の返事と、前後数週間の連絡がない状況、そしてSNSでの投稿などからは、彼女が一人で頑張っていることを感じることができた。

ゲームであればそれに対しての対応が必要となるが、咲笑ちゃんはきっとゲームをしている訳ではない。

カウンセラーとしての役割を僕はあらためて考えていた。




「ますます酷いことになっています。

踏ん張って5月半ばまで来ました。

もしもの時は、母のせいではないと、伝えてあげてください。」


「咲笑ちゃん、つらい状況が続いているんだね…。

お母さんにとっても、咲笑ちゃんにとっても、恒常性は大きな障害だよね。

今すぐには無理でも、いつかきっと乗り越えられると信じてます。」



「母は私の訴えを全て『毒親のレッテルを貼られた』と思うようです。

自分を守るために攻撃してきます。

そして私が自分を殺さざるを得ない調子で優しい言葉をかけてきます。

疲れ果てて、胃が痛くて、このまま病気になれたら病死できるのかな、と思います。

母は占い師の言うことを聞いて、私にはまた奇妙に映ることをしています。

メンタルのことは嫌になったそうで、講座を2つ残して行くのを止めたままです。」


「お母さんは現実が受け止められない、そして自分を守りたい(否定されたくない)気持ちが強いのかもしれないね。

メンタルの考えが全てではないし絶対でもないけど、途中で止めちゃったのは残念だね。

咲笑ちゃんと共通の言葉や認識で話せる内容を手放したことが、何より勿体ない感じがする。

占い師の言うことを聞いて、お母さんは救われてるんだろうか?

咲笑ちゃんのためだっていう思い込みもあるのかな?

僕にはよく分からないけど。」


「悪いのはいつも、信仰心のない私です。

言うことが二転三転するところを正すと、『その時はそう思った。

今は違う考えを持っている。

昔を掘り返して責めないで。』と怒られます。

つけられた傷はなかなか治らないということを知らないようです。

いつまでも昔のことにしがみついてる不憫な子、として見られています。」


「その占い師の人、どんな人なんだろう?

お母さん、咲笑ちゃんの気持ちを受け入れるのが怖いのかな。

だから咲笑ちゃんの問題にしようとしてるのかも。

メンタルではなくて占い師に頼るのも、自分に向き合うのが怖いからだと考えると納得できる気がします。」


「本当のことを本来の方法で取り組んでいくと、自責の念で耐えられないのだと思います。

私の魂は、天界でこの崩壊家族の元に生まれたいと熱望したと言っています。

私はただ、父と母が欲しかった。」


「そうだね。咲笑ちゃんは愛してくれるお父さんとお母さんを望んだだけだよね。」


「祖母が流産と堕胎を経験していて、母は本来は真ん中っ子だったらしいです。

『視える人』によると生まれなかった2人は男児で、占い師がその2人に名前をつけて供養するように言ったらしく、母が(本来は兄弟である筈の)2人に名前をつけて仏壇に手を合わせているようです。

私にはホラーです。私の理解を越えています。もう無理です。

普通の生活をしたかった。



母は、自分の都合が悪くなるので発達心理学は信じません。

私の不具合を自分のせいにされて憤っています。いつもそうです。


やっぱり、もう死んでもいいと思います。もう、よく頑張ったと思います。

ここまでの困難に、もう戦い続けられません。負けました。」


「自我防衛機制といって、人は自分にとって都合が悪いことや嫌なことがあったりすると、自分を守るために攻撃的になることがあります。


咲笑ちゃんは頑張ってきたし頑張ってる。

だから今は問題から逃げてもいいと思う。

でも生きることは諦めないで。」


「母が成長できなかったのは祖母が過干渉だったからなので、母を責めることはできません。

私が種を絶やすことで問題は解決できます。

ものごころついた頃から、自殺というものがあるんだと知った日から、自殺願望と戦ってきました。

私にとって戦うのをやめるとは、死ぬことと同じです。

自殺願望と戦う最大の武器は、夢でした。

お嫁に行く、という夢でした。」



「戦うのをやめるんじゃなくて、転進するイメージでいきましょう。

咲笑ちゃんの夢は叶うよ。

いつかきっと。必ず。」







幸せを手に入れる最後の方法
~2年間のカウンセリング実録~



最後までお読みくださり、ありがとうございました。



人との関わりを求めるのは悪いことではありません。

でも、自分の思い通りにいく関係って、なかなかありません。


そんなときに陥るのが『ゲーム』です。

私のこと嫌いなんでしょゲームとか、

どうせ私が悪いんでしょゲームとか。



人にとつては、プラスにならない関係でも、ないよりましなんです。


同じような展開で友達をなくしたり、異性と別れたりすることが多い場合、それは『ゲーム』をしてるのかもしれません。


まずは『ゲーム』に気付くこと。

新しい人間関係はそこから始まります。




続きは明日更新します。

よろしければ是非おつきあいください。

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