まちを見る
こんにちは。いせと申します。
皆さんはガーナという国を知っていますか?
日本からはるか遠く、アフリカ大陸の中西部ギニア湾に面するガーナ。
研究のために初めて訪れたのは2018年のことでした。
僕はこれまで2回渡航し、フィールド調査を行いました。
今日はその時に撮った写真を紹介していこうと思います。
ガーナの首都アクラに初めて降り立ち、空港を出た先に見えた景色は南国の都市でした。
街路樹は日本で見られないうっそうとした感じの木々。
明るい色の屋根や壁。
異国の地に来たのだなという実感とともに、ふと目に映ったもの。
それはビル。
ガラス窓のカーテンウォールがかかる現代的なビルを見て、どこか安心した自分がいました。
初めて訪れる街でありながら、見慣れたその形。
それこそ、現代の建物を象徴するビルが全世界共通の様式として広まっているのを感じました。
日本でもガーナでもほかの国でも、どこでも同じように建つビルというものはある面で万能であり、ある面で無粋である気がして、僕は何とも言えない気持ちになりました。
別に良いとか悪いとか思ったわけでもないのですが。
画一的な建築。
とは言ってもガーナの街並みは、充分に僕の心を奪ったわけで。
移動中の車の窓から僕はきょろきょろと街を見回していました。
右側通行に違和感を感じながら街を見ていると面白い建物がありました。
柱や梁から鉄筋がむき出しの建物。
建設途中に見えるが、すでに内部の利用が始まっているらしいのです。
なんでも、今後お金がたまってから増築するための仕様のようで、そのときに躯体をつないでいくための工法だそうです。
むき出しの鉄筋は風雨にさらされるので、躯体の耐力に影響ありそうですが……。
調査対象の住宅地でも同じように建てられている建物がありました。
1階が完成していて、2階はまだ柱しか立っていない状態で、将来的に増築するとのこと。鉄筋の劣化を防ぐためにビニールで包んでいました。
作りきらない建築。
調査対象地の住宅地はアクラ中心地から車で10分くらいであり都心に近い街なのですが、その街並みは大きく異なります。
まず、建物は基本的に平屋であり一部の住居のみ2階建てとなっています。
街の幹線道路沿いには様々なお店が並んでいるのですが、写真の通り平屋が多くなっています。
また街路も整備は不十分で、幹線道路は舗装されていますがそこから住宅地に伸びる道は舗装されていない地面むき出しの道です。
日本のように雨水の処理も充分でなさそうですし、歩道もありません。
路肩の駐車スペースも駐車場もないために、幹線道路に路駐する車も多く、時折交通の妨げとなり渋滞が発生していました。
調査したこの街はこの地に古くから存在しているのですが、昨今の車交通の発展についていけていないあるいは取り残されているような印象を受けました。
ヒューマンスケールの路地空間のみでつくられている街であり、住民同士の交流もいたるところで見られるいい街なのですが、住宅地の中へ車をいれられないための不便さが残るというのが問題です。
路地だけのまち。
という感じで、ガーナでの体験をもとにお話してきましたが、そろそろ終わりにしたいと思います。
他人を知り自分を知るという感じで、ガーナの街を見れば見るほどこれまで日本で経験してきた「当たり前」がそうでないことを実感しました。
言葉で聞いて知る以上に、自分で見て感じることの面白さ、楽しさがこの調査にはありました。
もちろんガーナというは極端な例であり、ガーナでなければ感じなかったということではありません。
大切なことは、比較することで違いがわかる。
たくさんのまちを知ることで、それぞれのまちの個性が見えてくるのだと思います。
ここまで読んでくれた方も是非、いろいろなまちに訪れてみてください。
(文責 いせさとし)
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