新しい灯台

be thereに参加した後に、その日の個人的ベストパフォーマンスだったスノースマイルについてnoteを書いた。
その日の総括的な内容よりも、1曲に絞って書く方法が楽しかったので今回も同様のスタイルでつらつらと感想を述べていく。

2024年2月24日(土)にBUMP OF CHICKENのツアー、ホームシック衛星2024に参加した。
バンド史上初の試みとなるリバイバルツアーとあって発表当初から期待値がぐいぐい上がり、その上がった期待値の更に上空を、14年振りの衛星が涼しげにすーっと通過して行った。
もはや当たり前と言ってもいいのかもしれないがどの曲も素晴らしく、中でもこの日特に感銘を受けたのが花の名だった。
初めて聴く歌詞だったり、友人と肩を並べてこの唄を聴き入っている状況だったり、その友人とのこれまでの思い出だったり、そういったものたちに涙腺をぐりぐりやられていた。

BUMPのライブの醍醐味の一つであるライブでの歌詞変え。この日も炸裂していた。
ライブの途中、「歌詞を間違えてないよ」とほとんど自白のような強弁を吐く一幕がありましたが、それとは違い、明確に今この場にいる私へ向けて紡いでくれた言葉たち。
こちらこそですいつもありがとうございますと心の中でひたすら平身低頭していた。
ここでその歌詞を書けないのが残念でならない。
ライブ中は嬉しい楽しいが爆発して海馬が機能不全に陥ってしまう私。
とにかく良かったんです、としか言えないのが悔しい。

先述した通り、この日のライブは友人と参加していた。
もう20年以上の付き合いになる。
それぞれ家庭を持ち、関東と東海に暮らす私たちはなかなか顔を合わせる機会がない。
そこで一役買ってくれているのが我らがBUMP OF CHICKENである。
学生でなくなり随分経ち、会うことに理由が必要になってきている私たちを、BUMPのツアーが繋いでくれている。
もちろんチケットが当たれば、の話ではあるが、aurora arc、be there、ホームシック2024と名古屋に3度乗り込めているのは幸運の極みとしか言いようがない。

ツアーの発表に胸を高鳴らせ、愛知公演の存在に安堵し、チケット当落発表に一喜一憂し、宿と新幹線を手配し、名古屋駅で顔を合わせ、共に会場へ踏み入れる。
自分が特別に好きなものを共有できる相手がいる方にはわかってもらえると思うのですが、句読点ごとにたぶん2,000字以上のエピソードが潜んでいる。

曲の話に戻る。
私の結婚式で彼の席札の裏にメッセージを書けるだけ書いた。その中に花の名の一節を拝借した。
花の名のイントロの最初の一音が演奏された瞬間、友人へ向けて書いた一節と、その一節を書くに至った当時の想いやこれまでの思い出が頭の中を駆け巡った。
もうすぐ四半世紀を迎える私たちのこれまでのやり取り全てを覚えてはいない。
覚えていないことの方が圧倒的に多い。
ただそれでも、今こうして方々調整して時間とお金を工面し、一緒にBUMPのライブに参加して、そして花の名を聴けているシチュエーションに私は感動していた。
彼とのこれまでの思い出、耳から流れ込んでくる感動やら何やらに飲み込まれている現在、今この瞬間を身振り手振りを交えて振り返るであろういつか。
徐々にスクリーンの大半を占めていく巨大な地球を眺めながら、どれもがきっと私の人生に於いて上位に入る宝石になるだろうななどとぼんやり考えていた。
同時に大写しになった地球を見てあそこに私も友人もいるんだな、と当たり前のことを思い、そんな当たり前と、この唄を世に生み出してくれた藤原基央に感謝した。

当該の一節は歌詞変えで聴けなかったが、大切なものを受け取れたと思っている。
リバイバルよろしく、私にとっての花の名もこの日更新された。
花の名について考える時、この日のポートメッセ名古屋での花の名が灯台となって過去や未来を照らしてくれる。
そんな気分にさせられた、素敵で迫力ある歌唱だった。




ひとつだけ言わせてもらえるなら、今回のツアーで1番聴きたかったのはひとりごとです…。

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