
民主主義と自由は一緒か?
A:違います。
■民主主義は「政治活動の決め方の原理」であり「主権者が民衆である」ということです。
民主主義という概念には、以下の2点の意味が含まれています。
①「”政治的手法"の機能」
②”民衆が主権者である”という「”主権の所在”を示す概念」
■自由は「"状態" を示す概念」です。
「思想の自由」「身体(人身)の自由」「経済活動の自由」
→私有財産を自由に利用・処分できる権利が「財産権」。
これらを包括して「古典的自由権」といいます。
そして「信教の自由」や「表現の自由」「集会・結社の自由」「身体活動(経済活動)の自由」その他の「幸福追求の自由」等であったりします。
また、「自由の範囲」を示す概念として、社会主義や共産主義にみられる「積極的自由(社会主義や福祉国家が与えると約束する自由)」から、英国保守党や米国共和党にみられる政治思想(オーストリア学派)の古典的自由主義の「消極的自由」、究極の他者からの干渉を拒絶するリバタリアニズムとして「アナルコキャピタリズム(無政府主義)」などと、自由という概念にも濃淡があります。
「財産権」は、西欧社会に於いて、
アメリカ独立革命で顕在化する19世紀末までに形成された自由の概念で、
「古典的自由主義/消極的自由」のことです。
またの名を「幸福追求権/基本的人権/19世紀的人権」ともいいます。
これらのことから「民主主義と自由は一緒ではない」ということが言えます。
よって「朝鮮民主主義人民共和国」という国名を例にあげると、、、
本来は「朝鮮の人民(人々)のための”古典的自由主義に基づく多数決政治”の国家」ですが、
現実には、金一族による独裁国家ですから
「朝鮮の人民による金一族のための”積極的自由に基づく多数決政治”の国家」と読むことが出来ると思います。
(「~~人民共和国」はすべて建前では人々が支配することになっていますが、現実にはそのリーダーが独裁するという特徴があります。)
では、日本においての民主主義政治はどうあるべきかという問いに対しては
「財産権を含む自由権を守るための民主主義政治であるべき」となるかと思います。
《参考》
◾️蔵 研也著「ハイエクといっしょに現代社会について考えよう」
◾️田野 大輔著「ファシズムの教室:なぜ集団は暴走するのか」