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なぜ長岡秀樹は侍ジャパンに選出されないのか

※ヤクルトファン以外の方が読むと気分を害するかもしれないのでご注意ください。

第3回WBSCプレミア12の代表に長岡秀樹は選出されなかった。

今季はショートを守りながら最多安打を獲得したし、タイトルを確定させる前から打撃好調だったこともあり、プレミア12の代表には当然選出されると思っていた。しかし、最終候補に村上宗隆や紅林の名前が挙がっているにもかかわらず長岡の名前がなかったから選出されないのではないかと疑念が生じた。そして、その疑念は現実のものになった。

筆者の疑念が生じた理由は長岡が昨秋のアジアCSと今春の侍ジャパン強化試合に選出されなかったからだ(アジアCSの代表発表は長岡の故障前)。長岡は昨季打率.227だったとはいえ、ヤクルトでは2022年・23年と2年続けて規定打席に到達した若手ショートだし、若手に代表経験を積ませるという意味でも両大会とも長岡選出は妥当だった。アジアCSでは出場辞退した紅林の代替選手がショートではない野村佑希だったことから長岡が故障していなくても追加選出されなかっただろう。3月の強化試合ではプロでレギュラーとして試合に出ていた長岡ではなく当時大学3年生だった宗山塁が代表に選出されたことから井端監督の中で長岡の評価が随分低いと感じた。翌年のプレミア12を見据えた場合、プロの若手と大学3年生のどちらを選出したほうがいいかは明らかだろう。井端監督の中で宗山の評価はとにかく高い。

セカンド吉川尚輝の出場辞退が報道されても代表のショートではすでに源田、紅林、小園の3人が選出されていたから長岡が追加選出されることはないし、セカンドの代役にショートが選ばれることもないと思っていた。それにもかかわらず吉川の代役に選出されたのがショート村林だったから驚かされたし、長岡を押しのけての村林選出は到底納得できるものではない。紅林がプロでセカンドを守ったことがないことからも村林はおそらくセカンドのバックアップ要員として選出されたのだろうが、長岡も2軍ではセカンドを守っていたから十分に守れる。むしろ2軍ではショートよりセカンドを多く守っていたし、守備指標もよかった。実績と今季の成績はもちろん年齢的にも村林より長岡のほうが若いし、12球団戦力結集の観点からも12球団で唯一誰も選出されていなかったヤクルトの長岡を選出すればよいではないか。ケガで出場辞退した村上以外にヤクルトから候補がいないならともかく長岡という確たる候補がいるのだから選出しないほうが不自然であり、昨季から今季にかけて1軍で多く出場した選手が選出されている中で長岡だけ選出されないのは謎。今回代表に選出された吉川、佐藤都志也、清宮、村林、栗原、桑原はまさに今季活躍した選手たちだ。また、今季本塁打と打点の二冠に輝いた山川や侍ジャパン常連の甲斐らベテランが選出されず、10月9日に発表された選手の平均年齢が25.71歳だったことも井端監督が若手起用を重視したからなのは間違いない。長岡はこの2つの要素を満たしているだけでなく最多安打とゴールデングラブ賞の受賞者であるにもかかわらず選出されなかったのだ。吉川の代替選手が村林ではなくセカンドの中野や小深田、守備と走塁に特化した矢野ならまだ納得できる。長岡が秋季キャンプに参加していることからも出場辞退した可能性は低いし、中日の細川と福永の代表辞退記事が出ていたから長岡クラスの選手が辞退していたなら情報が出るはずだ。

井端監督はチームの中心に源田を据えたい考えのようだが、今季の成績だけで言えば長岡が侍ジャパンの正ショートでも全然おかしくない。今後の侍ジャパンを考えるとそれが自然でもある。ショートの筆頭候補が紅林とか、牧はファースト起用といった報道が出ているが、選出された内野手で普通にポジションを考えるとショート源田、セカンド牧、サード栗原、ファースト清宮(坂倉、佐藤、佐野)だろう。吉川がいた場合はセカンド吉川、ファースト牧だったか。どちらの場合にしても紅林と小園、追加選出の村林はバックアップ要員である可能性が高い。長岡をバックアップ要員として考えた場合、小園は長岡より足が速いうえに最近ショート以外のポジションを守っていることから小園のほうがバックアップ要員として適任ではあるが、紅林・村林と長岡を比較した場合はポジション的にも走攻守においても長岡がこの2人に劣るところは何もない。右打ちの紅林と村林に対して、長岡は対左打率も悪くない(今季は.300)。紅林と村林をセカンドとショートのスタメンで起用しようと考えているのなら尚更、今季誰よりも結果を残した長岡を選出すべきだろう。

井端監督の中では去年から二遊間は源田の他に紅林と小園で固まっていて、長岡が結果を出しても入り込む余地がなかったように感じる。そして、今季結果を出した吉川と、去年は全く候補に挙がっていなかった村林が選出されたのを見ると高津監督に贔屓された長岡が井端監督に嫌われているのではないかとさえ思ってしまう(もちろんそんなはずはないだろうが)。プロでセカンドを守ったことがない紅林にセカンドの練習をさせているという報道が出ていたが、それなら、最初から長岡を選出すればよかったし、紅林が守れるサードは栗原と小園がいるのだから紅林選出の必要性は高くなかった(追加選出された清宮もサードは守れる)。それに、最初からセカンドの牧をファーストで起用しようと考えていたのならセカンドを守れるショートを選出すべきだっただろう。

長岡が選出されなかったことについて記者は誰も質問しなかったのか何の情報も出ていないため詳細は分からないが、長岡に対して複雑な思いを持っている筆者ですら長岡は今回選出されて当然だと思っているし、今のメンバーを考えたら選ばざるを得ないのに、それでも選出されなかったことは納得しがたい。是非、井端監督の口から長岡が選出されなかった理由を聞きたいものだ。

11月16日追記
井端監督がスタメン起用すると思っていた源田を控えに置いたことには驚いた。チームの中心として源田をレギュラー起用するからこそ源田の選出は納得できるわけで、源田が控えなら事情は変わってくる。二遊間を源田と牧ではなく紅林と小園で組むのであれば、尚更長岡を選出しなかったことに納得できない。経験と守備力が重要な捕手に打撃重視で坂倉が起用されているにもかかわらず、今季最多安打の長岡が選出されなかったことは矛盾していないだろうか。それに長岡は打撃の選手ではなくゴールデン・グラブ賞の受賞経験がある選手だ。それから、追加選出の村林が完全にセカンドのバックアップ要員という位置づけになっているが、それなら中野か小深田を選出するのが妥当だろう。源田を控えに置いて捕手は坂倉を固定起用するのであれば、控え捕手として中村悠平を選出しておいてもよかっただろう。中村はバント要員としても起用できた。井端監督のプレミア12での選手起用を見て、なぜ長岡を選出しなかったのか疑問が深まるばかりだ。


拙い文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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