NHKで放送された「超近視時代サバイバル」。私なりに解説してみます。
1月25日、NHKで「わたしたちの目が危ない 超近視時代サバイバル」が放送されましたね。眼科界隈でも話題になったこの番組、自分が近視の人、子どもが近視の人にとっては余計気になる内容だったのではないでしょうか。
今回は視能訓練士の立場から、この番組の内容をできるだけ簡単に解説したいと思います。
①強すぎるメガネをかけない
強すぎるメガネをかけない。
言葉で書くと簡単ですが、意外と理解しにくい部分があるので解説しますね。
メガネに関わっている仕事の人はお分かりかとは思いますが、過矯正という言葉があります。過矯正は、自分の目の度数を超えてしまったメガネのことで、これは論外に強すぎるメガネということになります。
例えるなら、1の度数でよいところを2の度数を入れてしまった状態。
メガネの知識が多少なりともある人は過矯正の処方はしないでしょう。今回の番組の論点は、過矯正ではないにも関わらず強すぎるメガネの状態があるということです。
結論からいうと
運転もできるメガネでパソコンやスマホみても全然問題ないよ、という人もたくさんいると思います。それでも、運転がバッチリできるメガネで近くを見ることは目にとっては負担になるのです。
あ、番組でも紹介されていた累進屈折力メガネ《一般的には遠近両用メガネ》は除きます。
運転がしやすい・つまりよく見えるメガネというのは遠方に焦点が合っている状態です。分かりやすくいうと、視力(1.5)や(1.2)といった状態。遠方がよく見えるということは言い換えると、近くにはピントが合っていない状態です。
とはいっても、運転できるメガネをかけてもパソコンやスマホも見えるという人が大勢いると思います。
大切なことをいいますね。それは
自分で焦点を近くにもってきている状態が長時間・長期的に続いたら…目には負担になるし、それが近視が進行する原因になる。
年齢や目の状態にもよるので一概にはいえませんが、運転がよくできるメガネで近くを見るのではなく、裸眼・もしくは強い近視の人は軽めのメガネをつくって近くを見た方がよい。
もしくは40代あたりから、累進屈折力メガネ(遠近両用メガネ)を検討してみる。
②近くを長時間見続けない
注:ここでは、裸眼・メガネで遠方がよく見えている状態を前提としてお話しします。
前項でも少しお話ししましたが、遠くに合っているピントを近くにもってくる目の力。この力を調節力といいます。調節力は目の筋肉を働かせる力と考えると、イメージしやすいかもしれません。
近い距離になればなるほど、より強い調節力(筋力)を働かせる必要がある。ちなみに子どもの頃が調節力が強く、年齢が増すにつれて調節力は低下します。
子どもの頃がムキムキのマッチョで、年齢とともに筋力が落ちていくと思って下さい。
近くを長時間見続けるということは、どういうことでしょうか?
答えは
筋肉でいえば、ずっと重たいものを持ち続けている状態です。ずっと重たいものを持ち続けると…筋肉痛になってものが持てなくなったり、筋肉が凝り固まったりしますよね。
目も同じです。
ずっと調節力を働かせ続けていると、調節がうまく機能しなくなったり、ピントが近くに凝り固まったりするのです。ピントが近くに凝り固まる、眼科的にいうと近視の度数が強くなった状態になる。
ではどうすればよいのか?
NHKの番組では、目から近い距離で見るゲームをTVに映してするシーンがありました。とても有効なことだと思います。
ゲームをするならできるだけ距離を離す努力を、そして長時間見続けないことを心がけましょう。
できるだけ外の光をあびること
台湾の学校では、外の光をあびることで近視の進行が予防できたとの報道がありました。日陰ですら、室内の光よりも明るいとデータで証明していましたね。
今はコロナ禍で外に出る機会が減っていることとは思います。室内で活動する時間が増えているのは仕方ないでしょう。ですが、近視の度数が進んでいる子の割合が、コロナ前より増えているように感じます。
近くを長時間見る・外の光をあびる時間が減る、こととやはり無関係とはいえないのでは?
休みの日はちょっと散歩してみる、ちょっとしたことから意識してやってみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は「わたしたちの目が危ない 超近視時代サバイバル」の内容を解説してみました。
すぐに変えられるところもあったと思うので、近視を進ませないためにちょっと意識してみようと思ってもらえたら幸いです。理解するのが難しい内容だったと思いますが、少しでも読者の皆さんのお役に立てれば嬉しく思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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