術後6週目〜
「○か月たったから〜」と焦ってはいけない
ふと、辺りを見回してみると、どの部活でも同じケガをした人は多い。
米国では、毎年20万件の前十字靭帯損傷が発生しているという。
単純に「あの人よりもだいぶ前に手術をしたのにまだ復帰できない」と焦る保護者の声を聞いた。
病院の診察時、医師も理学療法士も必ず
今どれくらいの状態か
をチェックしている。
リハビリはゲームに似ている。
ゲームでレベル1がクリアできたら、次のレベルが上がっていく。
リハビリも1がクリアできたら、2に進める。
この傷の炎症、可動域や筋力がこれくらいになれば次の段階にすすめる。
逆に言えば、戻っていないのに次にすすむことは難しい。
さらに、力が戻っていない状態で
「○か月たったから動きない」
と親が子供に言うならば、またケガをするかもしれないと頭に入れておいた方が良い。
健康な体でも同じだと思う。
20キロのバーベルがあげられないならまずは、5キロからはじめる。
やっぱり積み重ねが大事。
2時間待って2分で終わった診察
6月13日
医師が診察室に入ってくる。
ベッドに横たわった子供の膝を軽く触りながら、
「ちょっと曲げてみようか」
と言って、膝を曲げた状態を確認する。
ほとんど腫れやむくみもなくなり、痛みもない。
「かなり順調に回復しています。ケガだけしないようにね。
じゃあ、また4週間後に。」
たったそれだけで診察は終わった。
ずっと言われ続けている「順調に回復」。
理学療法士さんにも
「どんな魔法を使っているの?」
と聞かれた。
おもしろいもので、人間、自分だけが知っていると人に教えたくないという心理が働く。
だから
「特に何も……」
と答える。
でもその答えはシンプル。
毎日リハビリをする
ヒップリフト
スクワット
空気椅子
ランジ
片足デッドリフト
レッグプレス50キロをはじめよう
6月15日
整骨院を受診すると
「とってもいいよ。可動域で言えば97%戻ってるよ」
と、先生に言われた。
膝の屈伸がほとんど戻った。
ジョギングも7km/hペースくらいなら問題なくなった。
もちろんジョギングもするが、それよりも通学には往復4キロくらいの道を荷物を背負って歩かないといけない。
いちばんのリハビリかもしれない。
「もしマシンが使えるなら、レッグプレス30キロから始めて、50キロを20-30回を2日に1回やってみよう。」
来院のたびに強度が少しずつ上がっていく。
ケガをする前はレッグプレス100キロくらいはできていたという。
ケガもしていない元気な母でさえ、そろそろ追いつかないリハビリ内容になってきた。そう考えると、リハビリなのか肉体改造計画なのかわからなくなってくる。
大腿四頭筋の筋肉の盛り上がりも、左足ほどではないが目に見えるようになってきた。
しかし、まだやってはいけないことも明確にある。
こうなると、病院で受けるリハビリが完全に遅れてきている。
難なくこなせる程度の負荷である。
最初のリハビリ計画はあるが、現在の状態を見て計画を変更するのかと思えば、案外そうでもない。現状維持が続く。
日本の優れた保険制度のおかげで18歳以下は3回目以降無料でリハビリを受けられるが、もし毎回自分で費用を払っていたら、診察のみ行くかもしれないと思った。
自分がやった分だけ自分に返ってくる。
そうだ。ジム、行こう。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
では、また。
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